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平成16年12月定例会(第2日目) 名簿
平成16年12月定例会(第2日目) 本文

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  1. 島根県議会 2004-12-02
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    島根県議会会議録検索 検索結果一覧へ戻る 検索をやり直す (このウィンドウを閉じます) 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成16年12月定例会(第2日目) 本文 2004-12-06 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別ウィンドウ表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 44 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長宮隅啓選択 2 : ◯矢野潔議員 選択 3 : ◯議長宮隅啓選択 4 : ◯知事澄田信義選択 5 : ◯議長宮隅啓選択 6 : ◯政策企画局長富田幹彦選択 7 : ◯議長宮隅啓選択 8 : ◯総務部長濱田省司選択 9 : ◯議長宮隅啓選択 10 : ◯地域振興部長藤原義光選択 11 : ◯議長宮隅啓選択 12 : ◯健康福祉部長永田伸二選択 13 : ◯議長宮隅啓選択 14 : ◯小沢秀議員 選択 15 : ◯議長宮隅啓選択 16 : ◯知事澄田信義選択 17 : ◯議長宮隅啓選択 18 : ◯商工労働部長山下修選択 19 : ◯議長宮隅啓選択 20 : ◯副議長田原正居選択 21 : ◯渡辺恵夫議員 選択 22 : ◯副議長田原正居選択 23 : ◯知事澄田信義選択 24 : ◯副議長田原正居選択 25 : ◯総務部長濱田省司選択 26 : ◯副議長田原正居選択 27 : ◯環境生活部長(井上勝博) 選択 28 : ◯副議長田原正居選択 29 : ◯健康福祉部長永田伸二選択 30 : ◯副議長田原正居選択 31 : ◯教育長(広沢卓嗣) 選択 32 : ◯副議長田原正居選択 33 : ◯福間賢造議員 選択 34 : ◯副議長田原正居選択 35 : ◯知事澄田信義選択 36 : ◯副議長田原正居選択 37 : ◯総務部長濱田省司選択 38 : ◯副議長田原正居選択 39 : ◯土木部長(菅原信二) 選択 40 : ◯副議長田原正居選択 41 : ◯教育長(広沢卓嗣) 選択 42 : ◯副議長田原正居選択 43 : ◯警察本部長(鎌田聡) 選択 44 : ◯副議長田原正居) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:        午前10時5分開議 ◯議長宮隅啓) おはようございます。これより本日の会議を開きます。  日程第1、「県政一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑」を行います。  これより一般質問を行います。  質問の通告がありますので、議長が指名して順次発言を許します。  矢野議員。  〔矢野潔議員登壇、拍手〕 2: ◯矢野潔議員 自民党議連の矢野潔でございます。一般質問を行います。  初めに、島根県の将来のイメージについてお尋ねをいたします。  先ごろ二つの興味深い本に出会いました。一つは、イラン・イラク戦争の勃発、ソ連解体、日本のバブル崩壊など世界情勢に関する予測を次々に的中させているラビ・バトラ博士のあらわした「世界同時大恐慌」という本です。テロ、戦争、そしてアメリカ経済の崩壊から世界同時大恐慌へ、搾取的資本主義は終えんするという内容で、大変示唆に富んだものでございました。  中で博士の恩師サーカー氏の提唱するプラウト主義経済を提案しております。プラウト主義経済というのは耳なれない言葉ですけれども、知・霊・物を最大限に活用する技術で、各民族の生活様式や価値観を尊重し、欲望でなく必要に基づく所得の配分を目指す、自然の秩序、そして神の意思に沿う道だとしております。  そして日本人については、以下のように述べております。  日本人の本来の美徳は、誠心誠意、つまり正直さと優しさ、つまり思いやりだった。そして金銭を低く、名誉を重んじ、物の哀れを感じる精神性を高く見る心を大事にした。四季の美しい自然を愛し、自然の恵みに感謝し、さらに神仏にひざまずいた。昔はこれが日本人の普遍的な価値観だったのだ。  中でも正直さと思いやりは日本人の行動の原点である。そこに相互の信頼が生まれ、商売でも人づき合いでも物事が円滑に運んだものだ。すなわち和の精神であるとしております。  さらに、そうであるがゆえに日本こそプラウト主義経済導入の一番手候補だとしております。  褒め過ぎではないかといささか面映ゆい気もいたしますが、私たちがややもすると忘れそうになっている大事なことを思い起こしてくれます。  いま一つは、元ニューズウィーク紙のパリ支局長をしていたテッド・スタンガーという人の書いた「なんだこりゃ!フランス人」です。これはアメリカ人の見たフランスの様子を書いたもので、アメリカとフランスの物のとらえ方や行動様式、制度などが著しく違っている様子をおもしろおかしく表現しております。  これを見ると人間の価値観や人間社会の多様さを感じます。また、フランス人にとってアメリカ流のグローバリズムに大きな抵抗感があることもわかります。そして国際理解や国際交流が一筋縄ではいかないことも強く感じます。  この二つの著書を通じて人間社会には本当にさまざまな価値観や判断があるということ、そして日本らしさという、らしさについて考えさせられました。
     そして島根らしさというのはどういうことなのかと改めて強く考える機会になりました。  島根県政もこの島根らしさ、今風に言いますと島根県のアイデンティティーの構築に大きくかかわっております。  そこでお尋ねをいたします。澄田県政は現在5期目です。これまでの成果と知事の考えておられる島根県の将来のイメージをお尋ねいたします。  昭和62年に澄田知事は初当選されました。島根県のために全力で頑張るぞという大きな気概を持ってスタートされたと想像しております。その折、島根県をどうしたいとお考えでしたか。そのときのイメージをお聞かせください。そして現在そのイメージどおりになっていますか。  また、現在いわゆる島根らしさについてどう考えておられますか。  そして将来の島根県にどんなイメージをお持ちですか、さらにそれは現在考えておられる島根らしさとどう関係していますか、お聞かせください。  今、国も県も大変厳しい財政環境になっています。そこで将来に向かって財政上どんなイメージを持つかが大変重要なことだと考えます。  国の借金は、将来の税収を担保しています。県の借金は、税収や交付税等を担保しています。そして現在県の借金、いわゆる県債残高は1兆円を超える規模になっています。そして借金の返済額、いわゆる公債費は1,000億を超えております。  そこで県債残高についてお尋ねをいたします。県債残高を将来どうするか、イメージをお聞かせください。  さらに、財政について均衡財政原則をとるのかどうかについてお聞かせください。  また、このたび県の施策に優先順位のランキングがつけられました。このことは今後の施策の遂行に大きな制約条件になると想像されますが、これは知事のイメージと合致するものかどうかお聞かせください。  次に、島根県の各種計画についてでございます。  今、県総合計画の策定が日程に上っています。既に本県の目指すべき将来像を自立的に発展できる快適で活力のある島根として基本構想編が発表されております。そして総合計画における優先施策が示されたところでございます。  また、交付税の大幅な削減を受けた今日の県財政の危機的な状況に対応して中期財政改革が喫緊の課題として取り組まれております。  一方、国では、いわゆる三位一体改革が進められております。この内容いかんによっては県財政を根底から覆すことになります。エコノミストによっては、ハイパー、超インフレが起こり、国の財政が破綻するという最悪のシナリオを予測しております。そして世の中の変化は私どもの想像をはるかに超えております。  また、市町村合併も進められ、県と市町村の関係も変化しております。そして道州制の議論も始まっております。  したがって、総合計画の下位計画に当たる県の各種計画を取り巻く環境も大きく変化しており、前提となる諸条件が違ってきます。  そこでそうした中、県各部局の担当する各種計画の幾つかについてお尋ねをいたします。  初めに、市町村への権限移譲計画と地方機関の見直し検討についてお尋ねをいたします。  市町村への権限移譲で今想定されている一番大きな目玉の施策は何ですか。  市町村合併に伴う権限移譲により県の事業内容に変化があります。また、事業量の削減による人員の削減も予測されますが、各圏域ごとにある地方機関の役割はどう変化しますか。また、現在の施設をどうするお考えですか。  また、施設の統合が想定されますが、その基本的な考えとその手続をお聞かせください。  次に、中期財政改革基本方針についてお尋ねをいたします。  三位一体改革など国の大きな政策転換が予測されます。そしてその内容によっては中期財政改革の程度をはるかに超えてしまうこともあり得ると考えますが、そうしたことは想定外ですか。また、その際、他県で見られる不健全な、いわゆる財政健全化債の導入も想定されますか。  次に、中山間地域活性化計画についてお尋ねをいたします。  全国に先駆けて議員提案で中山間条例をつくった本県であり、研究センターで精力的な取り組みがされていると聞いておりますが、計画についての評価はどうですか。また、計画が本年度で終わります。次年度以降の取り組みについてはどう考えていますか。  次に、IT戦略構想、電子県庁推進計画、情報通信インフラの発展シナリオについてお尋ねをいたします。  島根県では、平成13年に策定されたIT戦略構想委員会報告書で示されたIT関連の諸施策が予定を上回る早さで進められたと聞いております。これからも各家庭に光ファイバーがつながるいわゆるFTTH、ファイバー・ツー・ザ・ホームを目指して積極的に取り組んでもらいたいと思いますが、県の考えをお聞かせください。  また、電子県庁推進計画では、電子調達、電子入札がおくれておりますが、そのスケジュールをお聞かせください。  また、県庁には100を超える既存のシステムが存在していると聞いています。コスト面でも問題を抱えていると思いますが、今後どうするのか、お考えをお聞かせください。  次に、原発特措法に基づき地域振興計画が策定されておりますけれども、中期財政改革に伴う影響は出ませんか、お尋ねをいたします。  次に、少子化対策、高齢化対策、そして障害者計画であるはつらつプランなどいわゆる福祉関係の計画が財政上のあおりを受けないかと心配をしております。県の基本的な姿勢をお聞かせください。  次に、農林水産部や土木部所管の公共事業を抱える多くの計画が中期財政計画や三位一体改革の直撃を受けることになります。また、地方六団体の提案による補助金の削減リストがひとり歩きをし、関係省庁の反発も出ています。県庁内の関係課の戸惑いは尋常なものではございません。計画の策定や遂行に大きな影響が出ると大変危惧しております。県の対応をお聞かせください。  次に、施策のランキングについてでございます。  このたび島根県総合計画において優先施策の選定が行われました。続いて公共事業の優先分野の選定が行われ、いわゆる事業のランクづけが行われました。危機的な財政状況のもと、集中と選択のためあえて行ったということでございます。関係部局の皆様の御苦労は大変だったろうと想像しています。  しかし、私はこのたびのランキング作成には幾つかの懸念を持っております。本来意味のあるランキングは、等質等量のものを比較した場合です。  このたびの施策のランキングは、例えば小学校の何年何組と小学校全体と比較したり、養護学校と大学の生産工学部とどちらが重要かと言ったり、軽スポーツの普及と高速道路を同じ土俵で論じるようなことが起きているのではないかと思っています。  特に下位に位置づけられたものを見ていると、強くそう感じております。そして項目のつくり方によってアンケートの結果が全く異なっていたと思っています。  さらに、例えば私などは島根県を人々が安心して豊かに暮らせる県にしたいと思っています。そこで少子高齢化対策や産業振興にしっかり力を注ぎます。そして安全で便利な県土をつくるために全力を注ぎます。そしてそのためには財政上の制約の中でインフラをどう整備していくかを考えていきます。これが本来の手順だと思います。  このたびのいわゆるアンケート結果による政策ランキングづくりには、島根県をどのようにしたいかという理念が残念ながら感じられないように思います。そしてその部分に対する議会の関与が余りにも希薄でございます。  また、国や市町村との日々の折衝の中で具体的に予算をつくり上げている現場の職員の皆さんの意見が十分反映されているか、疑問に思っています。  さらに、昨年の地財ショックのように私たちの想定を超えた外政的な変動の起こる可能性も十分考えられます。そこで県のシステムはもっとやわらかい構造にすべきだと思います。  そこでお尋ねをいたします。ランキングによって施策の硬直化が起こる心配はありませんか。  三位一体改革の方向とはすり合わせをどういたしますか。  また、中期財政改革の内容をはるかに超えた大きな変動要因が発生した場合はどうしますか。  さらに、この施策のランキング及び公共事業のランキングはいつごろまで制約することになりますか。  次に、三位一体改革における財政調整機能についてお尋ねをいたします。  国・地方の財政再建と地方分権を進めようということで2002年7月の経済財政諮問会議に三位一体改革案が示されました。これは国庫補助金を削減し、その財源を交付税と地方税に移譲する。そして同時に、地方交付税の見直しをしようというものでございます。自来いろいろ検討がなされ、先ごろ一応の決着を見たところでございます。  その間の各省庁や国会、地方の自治体などのいろいろな議論の中で本県の置かれた立場の危うさを感じたのは私一人ではないと思います。そして今後の三位一体改革の方向、とりわけ財政調整機能のあり方によっては島根県は大変な状況になると思われます。  そして税源移譲により財政力格差の拡大が懸念される中で、地方交付税の財源保障と財源調整の機能により大きな期待がかかってまいります。  そこで改めて地方交付税制度について考えてみたいと思います。  大戦後アメリカの占領政策の中で中央官庁をチェックする機能を持つ地方自治の仕組みの構築が極めて重要な課題でした。そしてこの地方自治を財政面で保障しようというのが地方財政平衡交付金制度であり、これは後に地方交付税制度になりました。  地方交付税には普通交付税と特別交付税があります。普通交付税は、一定の計算式によって計算され、地方公共団体間の財源調整に使われます。特別交付税は、普通交付税で対応できなかった地方交付団体の地域事情をより反映させるために使われます。しかし、これは額はわずかでございます。  そして交付税は、基準財政収入額と基準財政需要額の差額が地方公共団体に交付されます。  このことが財政上いろいろな課題や矛盾を生み出すことになっています。  自前の税収が少なくてもいわゆる財政調整機能が働き、一定程度の行政水準が維持できる。一方で、財政収入の拡大努力をしても交付税が減額されることになる。このことがモラルハザードや財政錯覚を助長しているのだという批判があります。  そしてちなみに島根県の場合、平成14年度の地方税収入は全国で下位から3番目ですけれども、1人当たりの地方交付税は全国一になっています。  現行のシステムは島根県にとって心地よい制度ですが、税収の多いところではけしからんということになりそうです。そしてこの交付税のシステムに風当たりがいよいよ強くなりそうです。  さらに、バブル期には地方債の元利払いなどを基準財政需要に組み入れ、インフラ整備への過大投資が行われ、既にナショナルミニマムを超えている。交付税システムの制度の欠陥だという批判もあります。  そこで幾つかの問題についてお尋ねをいたします。  三位一体改革において望ましい財源調整機能はどんなものだと考えますか。  地方交付税における財源調整機能について財務省や税収の多い都道府県から相当な攻勢がかけられることが予測されます。県はどう理論武装をし、どう対処しますか。  バブル期にインフラ整備への過大投資がなかったと考えていますか。  財政力指数の低い県、いわゆるEグループに属する県は状況がかなり似通っていると思います。そこで相互に連携して頑張る必要があると思います。県、県知事の対応をお聞かせください。  三位一体改革の島根県行政に与える影響は甚大です。総力戦で頑張っていかなければなりませんが、同時に三位一体改革へのスタンスはさまざまです。県選出国会議員と歩調が合っていますか、お尋ねをいたします。以上、よろしくお願いします。(拍手) 3: ◯議長宮隅啓) 澄田知事。  〔澄田知事登壇〕 4: ◯知事澄田信義) 矢野議員の御質問にお答えをいたします。  まず、島根県の将来イメージについてであります。  私が初当選いたしました昭和62年を振り返ってみますと、当時はバブル経済の真っただ中にあり、日本全体は中央集権的な発想のもと戦後の高度成長を通じて民間を主体に効率第一の地域開発が進められるとともに、地域間の競争は激しさを増していました。  こういった状況の中で島根が生き残るためには、都会との対比の中で本県のよさである自然や景観、歴史や文化など地域の素材を多角的に生かし切るとともに、全国に比しておくれていた各種の社会経済基盤を底上げすることが不可欠であると考えました。  これらの取り組みを通じてこの島根に生まれたことを誇りとし、この地に生きる喜びを感ずるような豊かで明るい島根をイメージし、その実現を目指し、定住条件の整備を最優先に取り組みました。  その結果、交通・情報通信体系の整備や産業の振興、保健・医療・福祉の充実、環境の保全や教育・文化の振興など一定の成果が得られたものと考えております。  その一方で、この間には地方分権の進展、社会情勢の変化、国・地方を通じた厳しい財政状況など本県を取り巻く環境は大きく変容してきました。  このような状況の中にあって本県が自立的に発展できる魅力ある地域として人々が真に豊かで快適に暮らしていくには、持続的に発展する活力ある島根を築いていく必要があると考え、先般総合計画を策定し、本県の将来像、イメージを自立的に発展できる快適で活力のある島根としたところです。  島根らしさについては、さまざまなお考えがあろうかと思います。  私は、島根らしさというものはあらかじめ絶対的にあるものとは考えておりません。全国的に見て恵まれた自然景観や固有の歴史文化、さらにはたおやかで粘り強い県民性があります。これらの特性はらしさの素材です。その素材がより多くの人にイメージされ、認められることで島根らしさがつくられてくるものと考えています。  島根らしさが形づくられる、その過程を大切にしながら本県の将来像の実現に向けて努力します。  次に、県債残高についてであります。  本県の平成16年度末の県債残高は、これまで国の経済対策や地方全体の財源不足を補うための地方財政対策などの一環として多額の県債を発行してきたところから1兆円を超えるものと見込まれます。  現在の状況下では、地方交付税の不足分を補うために発行する臨時財政対策債などは今後も一定程度の発行が必要と考えるため、これを前提とする限り県債残高は当面1兆円程度の水準で推移するものと見込まれますが、一方で中期財政改革基本方針に基づき公共事業を初めとする投資的な経費を削減することにより県債発行額の縮小を図り、県債残高全体の抑制に努めてまいります。  次に、均衡財政原則についてであります。  行政サービスの提供のために必要な費用は、将来の世代の負担に先送りすることなく現在の歳入をもって賄うことが望ましく、本県財政についてもできるだけ早期に財政収支の均衡を回復することを目指して財政改革に取り組むべきものと考えております。  中期財政改革基本方針では、構造的収支不足額450億円程度のうち当面現実的な目標として平成18年度までに300億円程度を圧縮することとしておりますが、今後公共事業などの抑制に伴う将来的な公債費負担の軽減を図りながらおおむね10年後における収支均衡体質への転換を視野に入れ、財政改革に全力を挙げてまいります。  次に、施策の優先順位づけとイメージの整合性についてであります。  さきに策定いたしました島根県総合計画基本構想編は、私が県民の皆様とともに築いていきたい将来の島根像を明らかにするとともに、それを実現するために今後展開していく施策の方向を明らかにしたものです。  言いかえれば、私の描く島根のイメージを明らかにするとともに、その実現の道筋を示すものです。  このたびの優先順位づけは、総合計画に掲げるそれぞれの施策について優劣をつけることを意図したものではなく、厳しい財政状況に陥る中でも本県の将来像の実現に向けて自立的・持続的発展を確かなものにするために今何が必要かという視点で判断したものです。  これは効率的な県政運営をするために行政資源の最適配分を図ろうとするものであり、本県の将来像の実現をより確実にしようとするものです。  次に、地方交付税についてであります。  議員御指摘のとおり、税源に乏しい本県にとって地方交付税はまさに命綱であります。  昨今財務省などからは、地方財政にはむだが多く、地方交付税がそれを助長しているかのごとき議論が展開されておりますが、こうした主張は多くの地方自治体の行財政改革の努力と地域の実情を無視し、国と地方の信頼関係を崩してしまう一方的な議論であり、決して容認できるものではありません。  地方交付税は、本来地方公共団体間の財源の不均衡を調整し、どの地域に住む国民も一定の行政サービスを提供できるよう財源を保障するためのもので、いわば国が地方にかわって徴収する地方税であり、地方固有の財源であります。  今後、三位一体の改革の進展による税源移譲に伴い財政力の格差の拡大が想定されることから、この地方交付税の財政調整の役割は一層必要となり、その機能はより拡充すべきものと考えております。  こうした地方交付税の重要性は、全国の地方自治体、とりわけ本県と同様に財政力の弱い団体にとって共通の認識であります。  このため本年度も鳥取県と共同して政府や両県選出国会議員に対し地方交付税の総額の確保などについて要望を行ったところでありますが、今後とも全国知事会などの場を通じて財政力の弱い県とも連携し、地方交付税の財政調整機能の拡充に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。 5: ◯議長宮隅啓) 富田政策企画局長。  〔富田政策企画局長登壇〕 6: ◯政策企画局長富田幹彦) 初めに、市町村への権限移譲計画についてお答えいたします。  この計画では、合併後の市町村の姿も見据えまして市町村の自主性を尊重するという基本的な考えに立って県から市町村への権限移譲を積極的に推進することとしています。
     特に個性豊かで特色あるまちづくりを推進するために住民に身近な分野での権限を中心に関連する事務権限をまとめ、まちづくり、福祉、環境、商工、この四つの分野別パッケージを設けて移譲することとしています。  これによって例えば都市計画や農地転用に係る事務権限などを内容とするまちづくりパッケージは、地域の特色を生かした自主的・主体的なまちづくりの推進に大いに役立つものと考えています。  このパッケージ方式による移譲が今回の権限移譲計画の一番大きな目玉と言えるものではないかと思っています。  現時点においてはこの計画に基づく権限移譲の申し出は数件にとどまっておりますが、合併関連の事務が一段落いたしますと本格的な受け入れの検討がなされるものと期待しております。  次に、公共事業に関連した計画の策定、遂行についてであります。  まず、三位一体の改革は、国の関与を縮小し、地方の権限と責任を大幅に拡大して地方の自主性・自立性を高め、地方分権の理念を実現するために行われるものでありますが、この三位一体の改革によって国庫補助事業から地方の自主事業となる事業については自主的・主体的な判断の幅が広がることとなるものであって、事業量には直接の影響はないものと考えています。  がしかし、本県の置かれた危機的な財政状況のもとでは、公共事業をこれまでどおり推進することは不可能であります。  自立的で持続的に発展できる島根を実現するために必要な社会基盤の整備への影響をできる限り小さくするためには、事業の効率的な執行やコストの縮減に努めることはもちろんですが、同時に限られた財源を有効に活用する戦略的な対応が必要であります。  そこで公共事業の分野においても全庁的な視点から本県の自立に向けて優先的に整備しておかなくてはならない分野に行政資源を集中することとして、15分野について3段階の優先度を判断することとしました。  この結果として、高速道路と幹線道路の整備を最優先に進めることとし、その他の分野についても優先度に応じて予算配分をすることとしています。  したがいまして、個々の分野における計画自体の見直しが必要な場合も考えられています。  次に、総合計画における施策の優先順位についてであります。  御質問の趣旨は、優先順位が下位とされた施策が今後とも下位に固定される御心配と部局調整枠で配分される予算額などが相対的に少なくなって事業ができなくなるんではないかとの御懸念と理解いたしますが、まずこのたびの優先順位づけは、総合計画の目的を達成するために直ちに解決しなければならない課題や将来を見据えて今取り組んでおかなければならない課題などを総体的に評価し、平成19年度までの期間に特に力を入れなければならない施策の優先度を決めたものであります。  また、大幅な事業費削減が避けられない財政状況の中では、これまでのように網羅的に事業を実施することは困難でありまして、めり張りをつけた事業展開が必要となります。  こうしたことから各施策を構成する事業のうち重要な事業を厳選して実施する一方で、相対的に優先度が低い事業は廃止や大幅な縮小をすることになります。  次に、三位一体の改革とのすり合わせについてであります。  先ほど申し上げましたとおり、三位一体の改革によって国庫補助事業から地方の自主事業となる事業については、自主的・主体的な判断の幅が広がることとなって、県として実施すべき必要な事業をより効果的・効率的に事業展開できるようになるものと考えています。  次に、議員が御心配されています国、地方を通じた歳出削減がさらに進み、大幅な歳入減となる大きな変動要因が生じた場合についてであります。  まずはこうした大幅な歳入減を招かないように、本県初め地方六団体は国に対して必要な歳入確保を強く求めているところであります。  がしかし、万が一大幅な歳入減となった場合には選択と集中をより一層行わなければならず、優先順位に基づく予算枠の傾斜配分比率の変動や、あるいは優先施策の本数の削減など、こういったことを検討しなければならなくなると考えています。  なお、繰り返しになりますけども、このたびの優先順位づけは、あくまでも平成19年度までのものであります。  次に、三位一体の改革に関する県選出国会議員との歩調についてであります。  今回の三位一体の改革全体像の決定をめぐる国や地方の一連の動きを振り返りますと、私は政治の力の大きさや国会議員の理解と行動の持つ重要な意味合いを改めて痛感しています。  6月の骨太の方針の作成やこの秋の全体像の作成など折々の重要な局面で県選出国会議員の方々には格別の御理解と御協力をお願いしてまいりました。地方分権を進めるという趣旨については十分に御理解をいただいているものと思います。  本県のように財政力の弱い自治体にとって改革の成否を決する当面の最大のポイントは、言うまでもなく財源調整、財源保障の両機能を持ちます地方交付税の総額の確保であります。  年末の地財折衝に向けて歩調をしっかり合わせて地方交付税の総額の確保を勝ち取ってまいりたいと考えています。 7: ◯議長宮隅啓) 濱田総務部長。  〔濱田総務部長登壇〕 8: ◯総務部長濱田省司) 私の方からは大きく3点について御答弁申し上げます。  まず、地方機関の役割変化とこれに関連する施設の考え方についてであります。  地方機関の役割につきましては、交通網の整備などによります県民の生活圏の拡大といった事情や、お話ございましたような権限移譲、合併などによります市町村の機能の強化など大きな変化がございます。これに応じまして地域において県が果たすべき役割は、住民の皆さんに高度で専門的なサービスを提供するという方向に向かって変化をしているという認識からこの地方機関の見直しの検討に着手をしているところでございます。  このような考え方に立ちまして、地方機関の組織の配置につきましては、原則的に機能ごとに東部、西部、隠岐の3カ所程度にできるだけ集約を図るという考え方に立ちますが、県民サービスを直接提供する部門でございますとか現場そのものが相手の県事業の実施部門などにつきましては利便性、現場性に配慮が必要という考え方に立ちまして、これらについてはおおむね従来の7圏域単位に配置をするということにしております。  次に、各圏域の合同庁舎についてでありますが、昭和41年に竣工いたしました旧浜田合同庁舎を初めといたしまして昭和40年代から順次建設をしてきております。圏域の地方機関を1カ所に集合化することによりまして、県民の皆さんにとってサービスが1カ所で受けられるということや、県にとりましても各機関の間の連絡調整が図りやすい、多くの単独庁舎を持つ場合に比べて全体として維持管理のコストが低減されるといったメリットがあるわけでございます。  地方機関の再編などの改革によりまして現在の施設をどうするかにつきましては、先ほど申しました見直しの検討の中では合同庁舎に入居しております機関の数あるいは人員の規模の変動はございますけれども、入居機関がなくなる、ゼロになるようなケースは現時点では想定をいたしておりませんので、特段の事情がない限り庁舎としての使用を継続をしていくことになるというふうに考えております。  また、合同庁舎に限りませず庁舎全般といたしまして庁舎全体を利用しなくなった場合や庁舎のフロアに空きスペースが出た場合などの考え方につきましては、基本的には他の行政目的あるいは公共的な用途に使うことができないか、さらにはその他の用途全般について有効活用を図るべきものと考えております。すぐに有効活用できない場合におきましても、該当の建物施設あるいは空きスペース部分を閉鎖するなどいたしまして維持管理のコストがかからないような措置を講ずることは最低限当然のことというふうに考えております。  また、お尋ねがございました庁舎を県の行政目的以外で有効活用などを行う場合の手続といたしましては、法令の規定に基づきまして、まず行政財産としての用途を廃止をいたします。その上で県の普通財産として保有管理しながら相手方への貸し付けあるいは売却などの手続を行っていくという段取りになるところでございます。  大きな2点目が、中期財政改革の基本方針に関連してでございます。  この基本方針におきましては、先ほど知事からも答弁申しましたとおり構造的な収支不足額450億円程度のうち当面平成18年度までの間に300億円程度圧縮をするということといたしておりますが、なお不足する部分が生じておりますので、これにつきましては基金の取り崩し、あるいは御質問のありました財政健全化債の発行などのいわゆる緊急避難措置で対応するということを計画をいたしております。  今回の三位一体改革に関連いたします政府・与党合意におきましては、平成17年度及び18年度の予算におきまして地方向けの国庫補助負担金の3兆円程度の廃止・縮減等の改革を行うこと、あるいは合わせておおむね3兆円規模の税源移譲を目指すことを定めておりますが、これらとあわせまして平成17年度及び18年度におきましては地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源総額を確保するということが明記されたところでございます。  これによりまして本県で策定をいたしております中期財政改革の基本方針の改革期間でございます平成18年度までは、まずは国庫補助負担金の削減に応じて必要な税源移譲がなされるとともに、地方交付税の確保につきましても一定の配慮がなされるものというふうに考えておりますけれども、先ほど政策企画局長からも御答弁申し上げましたが、具体的な財政措置は年末の地方財政対策、地財折衝の中で決定をされるということになっておりますので、当面は来年度の地方交付税の総額確保に向けまして一層の取り組みを行っていく必要があると考えております。  さらに、長期的な展望も含めて申し上げますと、今回の政府・与党合意の中では、2010年代初頭の基礎的財政収支、いわゆるプライマリーバランスの黒字化を目指しまして国・地方の双方が納得できる形で歳出削減に努め、平成17年度以降も地方財政計画の合理化、透明化を進めるということも一方で明記をされておりますので、今後ともその意味で本県の財政運営を取り巻く環境が非常に厳しい環境にある、状況にあるということは変わりはないと考えております。したがいまして、当面は中期財政改革の基本方針に掲げる取り組みに全力を挙げますとともに、中・長期的にも行財政改革になお一層努めていかないといけないという状況にあるというふうに考えております。  最後に、三位一体改革における、とりわけ地方交付税の財政調整機能についてでございます。  地方交付税は、先ほど知事からも答弁いたしましたとおり国民がどの地域に住んでいても一定の税負担のもとで一定の行政サービスを受けることができるように地方公共団体の財源を保障するための制度だというふうに考えておりまして、当然税源に乏しい本県にとって不可欠なものであるということでありますが、そればかりではなく我が国が要は国家としての一体性を保ちながら内政を進めていくという上で極めて重要な役割を果たしているというふうに考えております。  今後、税源移譲が進むことによりまして地方団体間の財政力の格差の拡大が想定されますので、地方交付税の財政調整機能はより充実強化をするということが必要だというふうに考えております。  一方で、現在の地方交付税の制度の運用の実態を見てみますと、本来地方交付税の総額は国税五税の一定割合というふうに決められておるわけですが、それでは足りないということもございまして、その総額は毎年の国の予算編成を通じて特例が定められるという状況でございます。  また、経済対策に伴います地方債の元利償還金に対する措置を行うというような点が国の政策誘導に利用されているというふうな批判も受けておりまして、その意味で本来地方の固有財源でございますけれども、最近の運営の実態は一部には補助金的な運用がされている、地方の固有財源としての性格を不明確にする形での運用が行われているという面が否定できないというふうに思います。したがいまして、今後は例えば国税五税に対します交付税率そのものを再設定するというようなことによりまして地方の固有財源としての性格を明確にしていく。言いかえますと地方交付税制度本来の姿に戻していくという方向でのこの地方交付税制度の改革が必要であるというふうに考えております。  一方で、今後とも行財政改革を一層徹底をいたしまして、地方交付税が地方財政のむだを助長しているといったような不必要な批判を受けることがないように努力していくということは当然必要だと思っておりますが、地方六団体あるいは財政力の弱い他の県とも連携をいたしまして地方交付税制度の本来の趣旨を踏まえた改革を訴えてまいりたいと思います。  最後に、インフラの整備についてでございます。  本県では、いわゆるバブル経済の崩壊以降、景気回復を目指しました国の経済対策関連の事業も活用しながら立ちおくれた社会資本の整備あるいは県政の発展に資する戦略的なプロジェクトの推進に全力を挙げてきたところでございます。  これらの公共投資に係ります経費は、本県の財政力からすれば高い水準にあったということも事実でございますが、一方で道路、下水道など生活基盤を初めといたしまして医療福祉、産業、教育文化など本県の未来を支える各方面の社会基盤の整備水準は相当程度この間向上したというふうに評価をしておるところでございます。以上であります。 9: ◯議長宮隅啓) 藤原地域振興部長。  〔藤原地域振興部長登壇〕 10: ◯地域振興部長藤原義光) まず初めに、中山間地域活性化計画についてお答えいたします。  中山間地域活性化計画は、地域の誇りを持ち、安心・安定して暮らすことのできる中山間地域の形成を基本目標に魅力ある雇用の場づくりなど五つの柱を立て、総合的・横断的に施策を推進してまいりました。  昨年その中間報告を行ったところでありますが、この報告において、社会資本の整備により生活の利便性は向上したものの農林業の低迷や都市部への人口流出などが進行し、地域運営や地域経済の面からは依然厳しい状況が続いていると改めて状況確認したところであります。  ただ、こうした中にあっても中山間地域の自然、風土、文化に抱かれた暮らしの豊かさを地域の皆さん自身が実感しながら都市住民と共有できるような、いわば交流型産業とも言える取り組みが活発に行われつつあります。こうした地に足をつけた取り組みは今後の中山間地域の活性化に向けた一つの方向であろうと思っており、一層推進していきたいと考えております。  この計画の期間はとりあえず今年度までとなっておりますが、中山間地域の現状や課題は依然変わっていないと認識しておりますので、今議会で中山間地域資源活用調査特別委員会から出されると伺っております提言も十分踏まえ、平成17年度以降も引き続き対応してまいりたいと考えております。  次に、IT、情報通信技術に関する御質問にお答えいたします。  本県は、情報通信インフラの発展シナリオに基づき情報通信環境の整備に積極的に取り組んでまいりました。  その結果、全国的にはいわゆるデジタルデバイド、情報通信環境の地域間格差が広がる中で島根県内においては全世帯の99%でブロードバンド、高速インターネットサービスを利用できるという全国でトップレベルの水準を達成したところであります。  この発展シナリオは、最終的にFTTH、光ファイバーによる超高速インターネットサービスを条件不利地域を含む県内全域で実現しようとするものでありますが、現在は市町村が行政機関や公共施設を結ぶ地域公共ネットワーク構築に向けて光通信サービスの調達を進めており、これを受け通信事業者は条件不利地域の集落中心部まで精力的に光ファイバーを敷設してるとこであります。  また、こうした本県のIT戦略は、通信事業者の積極的な設備投資を誘導する方法をとっている点が特徴でありまして、その先進性、独創性が注目され、全国の自治体のみならず国のIT施策にも影響を与えてるとこであります。  県としては、引き続き国に対し一層の理解と協力を求めながら施策の具体化を図り、FTTHの実現を目指してまいりたいと考えております。  次に、電子県庁推進計画についてであります。  電子県庁推進計画は、ITを活用して県民との情報共有の推進、県民の利便性の向上、行政の簡素効率化、透明性の向上を実現するための基本計画であり、平成14年3月に策定したものであります。  この計画により地方機関を含めたすべての機関のホームページの開設、インターネットを利用したパブリックコメントの制度化、県民が申請や届け出などの手続をインターネットから行うことのできるしまね電子申請サービスの本年10月運用開始などを行ってまいりました。  電子調達、電子入札については、業務の効率化、透明性の向上などを目的として導入を検討してきましたが、未曾有の財政面の難局の中にあって入札制度の改革や市町村との共同利用、システム構築に要する経費など費用対効果でのさらなる検討を要する状況にあります。  今後これらの課題を整理した上で財政状況や国・他県の動向を踏まえて効果的で最適なシステムを構築していきたいと考えております。  次に、県の情報システムの運用経費についてであります。  ITの進展に伴い業務のシステム化が進み、その運用経費については増加傾向にありますが、厳しい財政状況を踏まえ経費の縮減が課題となっております。  また、システムの増加に伴い迅速かつ正確なデータの受け渡しができるシステム間の連携の必要性も増してまいりました。  このような課題に対応するため、県では、今年度電子自治体推進室を設置し、各課に対する支援体制を強化いたしました。  具体的には、システム開発についてその企画・発注・開発・運用の各段階において経費縮減やシステム連携などのための専門的・技術的な評価や助言を行うとともに、既存システムについてもその保守サービスの内容の点検や経費の見直しを行ってきたところであります。  一例を申し上げますと、本庁や地方機関、市町村、主要公共施設などを光通信サービスでネットワーク化する全県域WANにつきまして、平成17年度から3カ年の新たなサービスの調達に当たり、全庁的な各種ネットワークの統合運用や県と通信事業者との管理領域の見直し、最新鋭の光通信サービスの導入などさまざまな工夫を凝らした結果、接続箇所数を大幅にふやし通信速度、通信品質を改善したにもかかわらず年間運用経費を約1億円縮減するという成果を得たところであります。  今後ともこのようなコストダウンの取り組みを全庁的に進めてまいります。  次に、島根原子力発電施設等立地地域の振興に関する計画への中期財政改革に伴う影響についてであります。  この計画は、平成14年に県が地元3市町と協議し策定したものであり、86の事業を実施することといたしております。このうち道路など防災に資する36事業については補助率のかさ上げや地方交付税措置など特別措置法に基づく特例措置の対象となっており、その適用期間は平成22年度までとなっております。  こうしたことから事業実施部局とも協議した上で、特例措置の適用対象事業については計画期間内の完了を目指すとともに、その他の事業についても期間内の実施に努めてまいりたいと考えております。私からは以上でございます。 11: ◯議長宮隅啓) 永田健康福祉部長。  〔永田健康福祉部長登壇〕 12: ◯健康福祉部長永田伸二) 福祉関係の計画に関する御質問にお答えをいたします。  中期財政改革の実行に当たり、施策の選択と集中、事業の優先順位づけが強く求められる中で、高齢者や障害者あるいは少子化対策などに係る福祉関係の各種計画に盛り込んだ諸施策も実施時期の延期や事業期間の見直しなど少なからず影響が生じてくるものと考えております。  厳しい財政状況の中ではありますが、少子化対策の諸施策を初め介護保険施設の整備や障害者に対する自立支援など優先して実施していかなければならない事業についてはそれぞれの計画の趣旨に沿って市町村や関係団体とも連携を密にしながら極力県民生活に影響が生じないよう必要な予算の確保に努めてまいります。 13: ◯議長宮隅啓) 小沢議員。  〔小沢秀多議員登壇、拍手〕 14: ◯小沢秀議員 自民党議員連盟の小沢秀多でございます。ただいまから一般質問をさせていただきます。  まず、その前に、議員席にいらっしゃいます大東町出身の井田先生、そして満場いっぱいの傍聴者の皆様方、きょうはようこそおいでいただきました。どうか時間の許す限りこの県議会を傍聴いただきたいと思います。よろしくお願いします。  では、ただいまから一般質問を行いますので、よろしくお願いをいたします。  一神教世界に対する多神教国家としての古代出雲文化の役割について私の考えを述べてみたいと思います。  現在世界各地で血で血を洗う凄惨な紛争やテロ活動が頻発をしております。現に米軍によるイラク戦争、そしてユダヤ人とアラブ人によるパレスチナ紛争などです。どうしてこうも人間同士が殺し合わねばならないのでしょうか。そこには一つの大きな要因として宗教問題が考えられるのではないでしょうか。  そこでまず初めに、一神教世界が今日的大問題であるテロというものに、否その発生源となったパレスチナ問題の根源的なものに迫ってみようと思います。  世界の歴史を振り返ってみますと、ヨーロッパのキリスト教社会においてユダヤ人に対する根強い差別と偏見が存在したことは紛れもない事実であり、もしも近代のロシアや東ヨーロッパにおいて激しい反ユダヤ主義の動きがなかったならば果たして政治的シオニズムの運動が起こっていたかどうか、そしてまた第二次世界大戦中にナチスドイツによるあの暴虐きわまりない狂気のホロコーストの悲劇がなかったならば果たしてイスラエルの建国が実現していたかどうか、それによって今日のパレスチナ問題をつくり出したという側面があることをまず我々は認識をする必要があると思います。このようにイスラエルの建国は、一つにはヨーロッパの反ユダヤ主義の所産でもあったのです。  近代国家形成の途上、ヨーロッパ・キリスト教世界は、統合からはみ出すものとしてユダヤ人問題を生み出し、帝国主義時代の到来とともに反ユダヤ主義が激化し、シオニズムによるパレスチナ植民が開始をされたのです。第二次大戦後、1948年には、イギリスの委任統治であったパレスチナを国際連合はユダヤ人、アラブ人、両民族に分割する案を作成をしました。ユダヤ人は、この案を受け入れて独立を宣言し、ユダヤ国家を建設をしましたが、周囲のアラブ諸国連盟はこれを認めず、両者の対立はさらに続くことになりました。  シオニストたちは、バルファオ宣言にのっとりユダヤ人の自治機構、ユダヤ機関を設立し、世界各地からユダヤ人をパレスチナへ移住させたのであります。  しかし、それらの移民の動きは、アラブ人の目に大きな脅威に映ったのです。それどころか東欧やロシアから移住してくる肌が白く青い目のユダヤ人たちは、アラブ人たちに十字軍の再来を思わせたのです。  ここで古代パレスチナにおいて順次成立してくるユダヤ教、キリスト教、イスラム教の三大宗教のうち特にキリスト教の成立の歴史とユダヤ教徒との関係について少し考察をしてみたいと思います。旧約聖書の出エジプト記によれば、紀元前13世紀にモーゼに率られ平安を求めてエジプトを脱出したユダヤの民は、このパレスチナの地に住みつき、ソロモン王朝治政下には一時的に繁栄をきわめた時代もあったが、その後ギリシャ、エジプト、シリア、パルチア、そしてローマと長い時代にわたって異邦人たちに占領され続けたのです。当時のユダヤ人の宗教感情を理解するのは難しいが、長い長い外国の支配下にあって占領されているという屈辱感と、そこから生じる自尊心はもとより彼らがその失意と絶望からしがみついた自分たちの民族的な神、ヤーヴェ、エホバと申しますが、への信仰やその神がやがて自分たちに送ってくれる救世主への深い待望の気持ちがあったのです。その中でユダヤ人たちは、二つのものだけは頑として譲ろうとはしませんでした。その一つは、神、ヤーヴェに対する信仰です。もう一つは、その神がいつの日か救世主を送り、再びユダヤの国土と誇りを取り戻してくれるという絶対に近い希望とでありました。  彼らのせつない希望と期待は、イエスの時代になっても何ら変わりませんでした。このイエスの時代のパレスチナにおけるユダヤ社会の構図は、頂点にローマ皇帝がいて、その属国としてのローマへの忠誠を守る限り領国内での経済と法との権利と私兵を持つことを認められたユダヤの王がおりました。そしてその属国の動きを監視するためにローマから派遣されたユダヤ知事がおり、そしてそのユダヤ知事たちと妥協することで辛うじて自分たちの権利を守っているにすぎないエルサレムの貴族祭司出身のサドカイ派あるいはパリサイ派と呼ばれる人々がユダヤ教主流派としてエルサレム神殿の守りと衆議会を構成していたわけです。パレスチナの大部分をなす最下層のユダヤの民衆は、これらの衆議会の人々と完全に遊離していました。  ガリラヤの支配者であるユダヤの王は、ローマ帝国に阿諛追従することでその地位を守り続けた。他方では、ユダヤ人の宗教感情や自尊心を刺激しないようにこうかつに立ち回ったが、ガリラヤの住民たちは必ずしもいい顔をしなかった。いや、むしろ敵意と不満の目でローマに対する妥協と追従とを眺めていた。彼らは、こぞってユダヤ教の強い信奉者であり、排他的な感情を持ち、ユダヤ教を堕落させるローマの風習や宗教に侮べつの感情を持っていました。  だからユダヤに送られたローマ人知事は、いつも過越の祭りにエルサレムの神殿を訪れるガリラヤの巡礼者たちの暴動を恐れたのです。  このような時代背景のもとで、イエスは、荒野で孤独な修行をし、民衆に神の愛を説き続けた。イエスは、次第次第に周囲のユダヤ人から期待と警戒との二つ目で眺められるようなっていったのです。
     第1の期待の目は、ガリラヤの庶民たちの目だった。彼らの中には、あるいはイエスをユダヤ教の改革者としてだけでなくユダヤの土地から異邦人を追い払う指導者になってくれるかもしれないと期待を寄せる者もいたのです。  第2の警戒の目は、エルサレムの神殿や衆議会を管理するサドカイ派やパリサイ派の目だった。彼らは、イエスを次第に自分たちに反抗する危険な男であり、群衆を扇動するアジテーターとして、また油断のならぬユダヤ教の自称改革者としてとらえたのであります。  これらのイエスに対する思いが、群衆には神の愛だけを説くイエスに、これは決して異邦人を追い払う指導者などではないと大いに幻滅をさせたのです。なんじらはしるしと奇跡を見ざれば信ぜず、彼の目には悲しみの色が浮かんだ。イエスは、民衆の苦痛やみじめさを引き受けたいとひたすら願った。彼らの苦しみを分かち合うこと、彼らの連帯者になることはイエスの願いであった。  やがて最後の晩餐を迎え、イスカリオテのユダの離反とペトロの裏切りを予告する。そして大祭司の官邸で逮捕され、翌日過越の祭りの初日にゴルゴダの丘で十字架にくぎ打たれ処刑されたのであります。  このときのイエスの最後の言葉として、主よ、主よ、なんぞ我を見捨てたもうや、我、我が魂を御手にゆだね奉る。主よ、まことの神よ、なんじは我をあがなわれたりが伝わっています。そして次にイエスの復活へと続いていくのですが、その後は弟子によってヨーロッパ大陸中にイエスの教え、すなわちキリスト教として広く伝わっていくのです。その最大の成果として、大ローマ帝国はキリスト教を国教とし、紀元2世紀前半にはパレスチナからユダヤ教徒を追放してしまいます。こうしてユダヤ教徒は世界各地へと散っていったのでした。  それではここで、もう一方の多神教について考えてみたいと思います。  我々日本人は、いろいろな宗教を抱え込んでいます。一番身近なところで、恐らくどこの家にも神棚や仏壇があるのではないかと思います。  我々は神仏が同居していることに違和感を感じないのですが、宗教というのは元来非常に排他性が強いものです。ところが、日本の場合は神と仏が一緒になってしまっています。例えば我々の日常生活において、元旦の初詣には神社に行き、お彼岸やお盆があり、年末になるとクリスマスがあります。これをもう少し詳しく順序立ててお話しいたしますと、日本には古来から神祇信仰が行われてきました。神として祭られているものには、一つは、自然崇拝の神、山、森、岩あるいは太陽に神霊を見出してそれを拝む。二つ目は、古事記や日本書紀などの神話に出てくる神様。三つ目は、祖先神です。古来から日本にはそういった神祇信仰があるのです。この神祇信仰の中にやがて仏教が入ってきます。仏教は、国際性を持った宗教なんです。日本人は、宗教に対してよく言えば非常に寛容性、包容性があるので、何でもかんでも包み込んでしまいますが、悪く言えば無節操なのです。だから仏教が入ってきたときにもどんどんその仏教を取り入れます。  そして仏教はどうしても日本古来の信仰である神祇信仰と手を握っていかなくては日本で広まっていかないわけで、どのように手を握っていくかということが仏教側の考え方、つまり神仏習合の思想なのです。後にはこの思想がもとになって神仏融合まで進んでいきます。  この融合がさらに広く行き渡る11世紀以降には、天照大神はもとより八幡神など日本の代表的な神々は、その本地は仏であるが、日本の人々を救済するために仮に神となってあらわれたとみなす本地垂迹説の発展に伴い全国に広まっていきます。神の身でありながら衆生救済の功徳をも期待されていました。これは日本の神の大きな変容といえます。そしてここにも日本人の神信仰の概念が率直に発揮されていると思うのです。祈願の対象がたとえその名を、あるいはその意味合いを変えたとしても、結果的にプラスの効果、豊穣なり豊漁といったさまざまな御利益が生じればよしとする信仰なのです。本来清らかな心、正直で率直な心を持って神を拝することに始まった日本人の神信仰は、外来思想の積極的な導入と日本的な神仏理解を経て神への感謝から神への願いへとその精神世界を大きく変容させていくことになります。このように中世の神道は、仏教のほかに道教、陰陽道などの異教の教義を含み、これが日本的信仰を形成してきました。この精神風土が一人の神に、あるいは一つの原理に限定することを拒ませてきたのではないでしょうか。このように日本人は多様性、すなわちあいまいな中に折り合いを求めてきたところがあるように思います。  ところが、やがて江戸時代になると、国学神道、復古神道とも呼ばれる本居宣長や平田篤胤などのいわゆる国学系の神道が起こったのです。国学というのは、漢意を排し、やまとごころをたっとぶ古事記とか日本書紀に書かれている神代の時代が本来の日本の姿なのだという考えです。この新しい神道は、いわゆる仏教や儒教を排斥し、純粋に日本の神だけを考えていこうという純粋神道思想なのです。もちろんまだ江戸時代には神道にもいろいろあったのですが、明治維新の神仏分離、排仏棄釈によって神道は国学神道しか認められず、ほかは全部廃止されてしまったのです。すなわち国家神道となったのです。この形成過程としては、さまざまな党派の思惑や利害のもとに紆余曲折を経て試行錯誤の果てに超国家主義の流れの中に踏み込まれていった歴史のダイナミズムとも言えるものだと思います。  ともあれこのような多神教国家としての我が国における古代出雲は、一体どんな精神世界を形成していたのでしょうか。かつて小泉八雲は、感激をもって出雲はわけても神の国であると記しております。出雲のあちこちに古い伝統を持つ神社があり、そこに住む人々が神々を信じ、清らかな生活を送っていたからです。  彼は、金銭万能の米国資本主義が人間性を押しつぶすものだと感じていました。日本に渡り、そこで日本の神々に出会った八雲は、出雲を日本の民族の揺りかごの地だとも述べております。明治時代まで出雲には日本人の信仰の基層が残っていたのです。  そもそも古代の出雲は、四つの地域に分けられます。出雲氏の本拠地である意宇郡と島根、秋鹿、楯縫の3郡、それと神門氏の本拠地である出雲郡と神門、飯石、大原、仁多4郡です。2世紀半ば、意宇郡を本拠地とする出雲氏が意宇郡と島根、秋鹿、楯縫の3郡の首長たちの指導者になったわけです。彼らは、3カ所の神奈備山で各地の首長が共同で行う祭祀を初めます。そしてそのころ出雲郡の神門氏が出雲西部の豪族に対する指導力を確立しつつあったのです。このような状況のもと出雲氏と神門氏が手を結んで出雲は一つにまとまった。出雲氏の勢力圏が入り海、すなわち宍道湖沿いに西へ延びて仏経山の手前に達したところで出雲氏と神門氏の連合が成立したのです。  それ以後、政治を扱う意宇郡の出雲氏とその下で祭祀に当たる神門氏との職務分担がなされ、そしてこのことをきっかけに出雲郡が神聖な土地だと考えられるようになります。その結果、出雲大社は出雲氏の本拠地の意宇郡でなく出雲郡に建てられたのです。  ところで、8世紀前半に完成した出雲国風土記は、その冒頭に合わせて神の社は399社なりと記しています。古代出雲に関しては多くのなぞがありますが、近年そういったなぞの大部分を解く大発見がなされました。例えば358本もの銅剣が発見された荒神谷や加茂岩倉遺跡の発掘です。彼らは自家の祭器である銅剣を1本ずつ持ち寄って大国主命を荒神谷遺跡で祭ったのかもしれません。その祭器は、出雲氏と神門氏の指導のもとに行われたが、彼らが力で他の首長を押さえることはなかったのです。  大和朝廷では、高天原神話をつくって神々の序列を重んじたが、出雲では神同士は平等だとされました。有力な神が他の神を力で従えたり否定すべきでないと、出雲の人々はこう考えたのでしょう。  皆さん、古事記に載っている大国主命の神話でワニに皮をむかれた因幡のシロウサギの物語を覚えておられることと思います。大国主命は、さまざまな苦難や多くの試練に遭っても勇気と優しい心でそれを乗り切ります。また、庶民と同じ子細なことにあれこれ悩む神でもありました。そのため大国主命信仰は出雲全体に受け入れられ、さらに全国に広まっていきます。日本書紀の国譲りの場面では、私は姿を消すことにしましょう。私が天孫にあらがえば他の国神たちもみんな逆らうことになります。私が身を引けばだれもが天孫に従うはずです。国内を平定した矛をささげましょう。これを用いれば必ず平和に国を治めることができるでしょうとあります。すなわちこれが古代出雲の精神性の高さを証明する和譲の精神なのです。  以上、るる申し述べましたが、結論的に申しますと民主主義という政治システムに最も適合する宗教システムは多神教ではないか。というのも、それがどの文明に発生したものであれ多元的な価値を前提に多様な人間集団を統合するシステムとして機能してきたのではないかと思うからです。ところが、それに対して一神教世界では、例えばキリスト教、イスラム教、ユダヤ教ではそのような唯一神を地上的なものとは隔絶する価値を持つものとみなしてきました。要するに政治の領域における絶対君主制と同じく一神教とは宗教世界における独裁体制だったのではないでしょうか。  我が国においては、世界史に例を見ない平安時代の350年、江戸時代の250年という長期にわたる平和の時代がありました。一国の政治体制としてどうしてそんな奇跡のようなことが可能になったのだろうか。それはその時代、政治と宗教の間に実に良好なバランスがとれていたからではないでしょうか。そしてそのことを可能にしたのが神仏共存、すなわち神と仏のそれぞれの領域がすみ分ける多神教的宗教システムだったのではないでしょうか。  ところで、これら日本神話にあらわれる神々のあり方の中に日本人の世界観と死生観を解くかぎが隠されていると思います。あの物理学者の寺田寅彦も言うように、森羅万象に神の気配を感じ、身を慎むという感性がいつの間にか我々の習性になったのです。自然の背後に神の気配が満ちるとき、天上界と地上界がひそやかなメッセージを交わし、自然と人間の間に調和が回復されるのです。わけても古代出雲の神々が説く和譲の精神こそ、混沌とした現代の世相にまさに救世主として新しい希望の光を投げかけてくれると思います。  そこでお伺いいたします。最近の急激なグローバリゼーションの波の高まりの中で、日本人や日本文化のあり方について考えてみようとする雰囲気が高まってまいりました。ナショナリズムの偏狭さではなく、世界全体の中で日本人としてのルーツを探すことが現代は非常に大切になってきています。  悠久の昔から我が偉大な先祖である日本古代人がいかに深い人生観と透徹した宇宙観を持っていたことか。したがって、日本の神話、とりわけ出雲神話の和譲の心に我々日本人皆が回帰するとき、明るくさやかな日本人としてまことの自分探しができるのではないでしょうか。  くしくも11月15日に観光をテーマにして澄田知事の出席も得て島根・広島両経済同友会の交流会が開かれ、続いて11月22日には澄田・島根、藤田・広島両県知事の間で島根・広島交流会議が開かれ、中国地方の知名度を上げるため両県が協力してテーマ別の観光ルートを開発してはどうかと申し合わせたことは、まことに時宜を得たことだと思います。  その観点から私が平成14年9月定例会の場で提言させていただいた出雲神道百と九十六社参りにつき関係部長にお尋ねいたします。その当時非常に前向きな御答弁をいただいたのですが、既に2年がたちました。その後の経過と今後の取り組みについてお聞かせください。  また、知事に御提言を申し上げます。我が出雲は、神々のふるさとと言われます。世界のさまざまな宗教家が出雲に会して世界宗教サミットでも開催されれば、既に述べましたように一神教同士あるいは一神教対多神教などという構図の中で起きるいろいろな問題解決に寄与することができるのではないか。そこで既存の宗教団体が今後このような企画を立てるならば、本県はその誘致に乗り出すべきだと思いますが、知事さんの御感想をお聞かせください。これで私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 15: ◯議長宮隅啓) 澄田知事。  〔澄田知事登壇〕 16: ◯知事澄田信義) 小沢議員の御質問にお答えをいたします。  議員からは、平成14年9月議会において、古代出雲、出雲神話に由来する出雲地方の魅力を一大観光資源としてとらえ、私たちが祖先から受け継いできた変わらざる文化とそれをはぐくんできた人々の心を世界に情報発信していくために出雲神道百と九十六社参りを観光コースとして設定してはどうかとの貴重な御提案をいただいたところであります。  また、このたびは一神教世界と多神教世界とを対比させながら、古事記や日本書紀、出雲国風土記の神話にあるように争い事を好まず、できるだけ話し合いによって物事を平和的に解決していくという譲り合いの精神が息づいている出雲に着目され、世界のさまざまな宗教家が集う世界宗教サミットを開催してはという御提案であり、貴重な御意見として拝聴させていただいたところです。  こうした世界的な規模の会議が本県で開催されることは、その開催趣旨や内容などにもよりますが、出雲神話を初めとする島根の豊かな歴史・文化や自然などの魅力を全世界に向けて情報発信ができる絶好の機会でありますし、また国際観光の振興を図る観点などからも大変意義深いことと考えておりますので、議員御提案のような動きがあれば県としてできる限りの協力を行ってまいります。 17: ◯議長宮隅啓) 山下商工労働部長。  〔山下商工労働部長登壇〕 18: ◯商工労働部長山下修) 私の方からは出雲神道百と九十六社参りのその後の取り組みについてお答えをいたします。  議員から御提案以降、本県では旅行会社やマスコミ等に対し遺跡や出雲神話をテーマとした広域観光ルートの売り込みを積極的に行うとともに、市町村や観光協会等が行う歴史資源を活用した観光商品づくりなどに支援を行ってまいりました。  また、本年から全国的な知名度と競争力のある観光地の創出を目指した観光トップブランド創出事業を実施しておりますが、この事業の対象地域である松江・出雲地域においても神在月や縁結びをテーマとした観光商品づくりが進められております。  こうした取り組みの結果、大手旅行会社において出雲神話をテーマとした募集旅行商品が新たに設定されるとともに、複数のテレビや雑誌等において取り上げられるなど一定の成果を上げているところです。  また、民間においては、出雲大社や美保神社、清水寺といった20の神社、寺院が御縁をキーワードに精神文化の高揚や地域観光の振興を図ることを目的に出雲の国・社寺縁座の会を結成し、明日、12月7日に設立祝賀会が開催されると伺っております。  出雲地方の神社、寺院が神仏や宗派の枠組みを超えてともに連携し、民間主導で地域観光の振興を図られる今回の取り組みは、他に例を見ない画期的な取り組みであり、大変有意義であると認識をいたしております。  この会の趣意書によりますと、美しい景観、心豊かでつつましやかな生活、その中にたたずむ寺社・仏閣や古代出雲の遺跡群を有するこの地域こそ自分を探す、心の旅の地としてふさわしく、訪れる人の輪を広げたいとのことでありますが、世界情勢が混迷し、国内においても景気低迷等による閉塞感が漂い、いやしや潤いといった精神面での充足が求められる今、まさしく時代のニーズに沿うものであり、その理念に深く共感するものであります。  県といたしましては、こうした民間の取り組みについてマスメディア等でのPRや観光誘客プロモーター等を活用して旅行会社、マスコミへの売り込みを図ることなどにより支援をしていきたいと考えております。  また、18年度末には古代出雲歴史博物館が開館いたしますが、現在これと連動し、出雲神話ガイドの養成や出雲神話を現地で体感できるウオーキングコースの選定などを検討をしているところであります。  今後とも県、市町村、民間が有機的な連携を図りながら出雲神話を初めとする島根の魅力を国内外に広くPRし、観光客の誘致に努めてまいります。 19: ◯議長宮隅啓) この際しばらく休憩し、午後1時から再開いたします。        午前11時46分休憩        午後1時5分再開 20: ◯副議長田原正居) それでは会議を再開いたします。  引き続いて一般質問を行います。  渡辺議員。  〔渡辺恵夫議員登壇、拍手〕 21: ◯渡辺恵夫議員 傍聴席の様相が一変をしましたが、県政クラブの渡辺でございます。  1950年以降、セ・リーグでの連覇は、巨人は別として79年、80年の広島カープ、92年、93年のヤクルトスワローズの2チームしかありません。ことしの2月の定例会で私は、新戦力と既存の戦力をうまく調整できるであろう優勝請負人の岡田新監督のもと連覇は可能だと申し上げましたが、残念なことに期待しておりました阪神タイガースは、きらりと光るところは見せたもののまたも連覇を逃し、再びBクラスに転落をいたしました。既にドラフト会議も済み、ストーブリーグに入り、各チームは来季に向け調整中であります。阪神タイガースのことしのドラフト会議では、将来性を見据えたものの来季への大型補強はないような気がしますが、キャンプ等育てながら勝つ、2年目の岡田監督のかじ取りに期待をしたいと思います。  それでは、あらかじめ通告をいたしております大きく分けて4点について質問をいたしますので、知事を初め関係部長、前向きな答弁を期待するものであります。  まず最初に、災害時の対応についてであります。  去る10月23日から立て続けに発生し、死者40名、重軽傷を合わせた負傷者2,859名、全・半壊の住家だけでも7,600棟以上、一部損壊を含めると6万棟以上の住家が被害を受けるという人的・物的両面で大きな被害をもたらした新潟県中越地震は、発生から1カ月半がたちますが、ライフラインも完全復旧はしていないようで、復興に向けての各方面における最大の努力が続けられているところであります。  中越地方は、豪雪地帯としても知られる地域であり、雪も降り出していると聞いているだけに、これからますます寒さ厳しい冬を迎える中で被災者の皆さんの不安な気持ちは察するに余りあるものがあります。  私も9月議会で危機管理に関する質問をしたばかりで今回の地震の報に接しましたので、何か因縁めいたものを感じ、身につまされるような思いで心配しているところであり、長期間かかるとは思いますが、一日も早い復興を願うものであります。  台風被害に続いてこうした地震の被害もあり、9月の危機管理に関する質問に続いて今回は具体的な災害時の対応についての質問をしたいと思いますが、1点目は、台風や集中豪雨時の住民に対する避難勧告の問題であります。  先日の新聞に不十分な災害時の避難勧告指示との見出しで消防庁が行った調査の結果が載っておりましたので、同僚議員の皆さんの中にも読まれた方があると思います。その結果の中で私が驚いたのは、避難勧告や指示を出す時期について防災計画に具体的な数値で基準を設けている市区町村が全国でわずかに7.1%しかなかったことであります。  しかし、その中で島根県は、合併前の市町村の数字とのことですけれども、28市町村、47.4%が基準を設けているとのことで、さすがに大きな水害を何度も経験しているということの教訓が生かされているものと感心したところであります。しかし、よく考えてみますと、28市町村、47.4%ということは、それでも調査時の59市町村のうちの半数にも達していないということであります。  新聞では、相次ぐ台風上陸では勧告のおくれや高齢者の避難誘導に不備があり、犠牲者が多く出たことが問題化しており、全国的に取り組みが不十分な実態を裏づけた。政府は、調査結果などを参考に基準のガイドライン骨子を年内にまとめるとのことでしたが、県としてこの避難勧告や指示の基準についての消防庁の調査結果をどのように受けとめ、県の防災計画や基準が設けられていない市町村の防災計画に生かしていかれるのでしょうか、お伺いをいたします。  私は、国が基準のガイドライン骨子をまとめると言っていますけれども、各地方・地域によって地質や地形、河川の幅や流線などもそれぞれ違うので、一律の基準は当てはまらないと思います。したがって、国ではなく県が主体となってその地域に合ったデータ収集等を行い、助言等を行いながら市町村の防災計画に基準を盛り込んでいくべきではないかと考えるものでありますが、県としてのお考えを伺いたいと思います。  2点目は、ボランティアの皆さんの受け入れ体制についてどの程度の対策が考えられているかということであります。  御承知のように、ボランティアの活躍は、約10年前、そう、1月で満10年になる阪神・淡路大震災のときの活躍が注目され、NPO法の制定のきっかけになったのは御承知のことで、その後も災害のたびに多くのボランティアの方々が被災地に入られて活動をされてきております。  今回の新潟県中越地震でも、去る11月25日現在で延べ5万5,000名以上のボランティアの方々が炊き出しや避難所の運営補助、救援物資の配送支援、被災家屋の片づけなどさまざまな支援活動に従事しておられます。  今回も県内から出かけておられる方々も多いと思います。先月末には島根県立大学と島根大学の学生を中心とした島根学生災害ボランティアネットワークの皆さん49名が震災の支援に出かけるという記事が新聞に載っていましたが、受け入れる側としても非常にありがたいことだと思います。  しかし、多くのボランティアの方々が来られれば来られるだけ、受け入れ体制がしっかりしていないと、せっかく来ていただいた方々と受け入れ側のあつれきを生んだり混乱を生じ、せっかく来ていただいたボランティアの方々や被災者の方々に反対に迷惑をかけることも予想されます。  そこで、こうしたボランティアの受け入れや受け入れ体制整備についてどのようにお考えか伺っておきたいと思います。  大きな二つ目の質問は、地方分権の議論の中で進められている道州制の問題についてであります。  私は、昨年6月の代表質問と同年9月の一般質問において都道府県の広域化及び都道府県合併に対する考えと県の検討状況について東北地方の具体的な状況も述べながら伺っておりますが、知事は、将来的には都道府県の広域化が必要であり、都道府県合併も考慮すべき手法の一つであると考えている。今後の県のあり方については、県及び市町村の関係者で構成する島根県地方分権推進協議会において道州制や都道府県合併など広域化に向けての手法や県と市町村の役割分担などについて検討しているところであり、引き続き国や他県の動向などを踏まえながら議論を深めていきたいと考えていると答えるにとどまっておりますし、その後、島根県地方分権推進協議会において検討されたということで、本年3月の地方分権・行財政改革調査特別委員会でも政策企画局の方から説明がされておりますが、その中でも道州制が望ましいとしながらも枠組みや役割についてはそれまでいろいろな場でなされているさまざまな論点を羅列するのみで、具体的に島根県はどう考えるのだというところが見えてきておりません。  先月、広島県は広島市を州都とする中国5県による中国州構想を打ち出しましたし、岡山県は中国・四国9県による中四国州構想を提唱しております。  知事は、先月16日の定例記者会見で、いずれかの時期に県の考え方をまとめたいとの認識を示しておられますが、見通しはいかがなものでしょうか。私は、都道府県のあり方の検討についても市町村合併と同時並行的に議論を進めるべきではなかったのかと考えますが、それはもうかなわないことですので置くとしましても、市町村合併が特例適用の延長期間を含めても1年を切り、ほぼ県内全体のめどが立った現在、既に都道府県のあり方についていずれかの時期になどと悠長なことを言っている場合ではなく、これまで真摯に検討してこられた結果を踏まえ早急に島根県知事としての考えを示すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか、お伺いをいたします。  次に、教育の問題についてであります。  1点目は、三位一体改革に伴う義務教育費国庫負担金の問題についてであります。  去る11月26日、政府・与党は、国と地方の税財政のあり方を見直す、いわゆる三位一体改革に関する全体像を決定しましたが、このうち義務教育費国庫負担金については政府側の細田官房長官ら4閣僚と与党側の自民党・与謝野、公明党・井上両政調会長の間で2年間で8,500億円を削減することを明記し、平成17年度予算では暫定措置としてそのうちの半分の4,250億円を削減し、税源移譲予定特例交付金として計上、来年秋の中央教育審議会の答申を得て平成18年度で恒久措置を講じるといった内容の覚書を交わすという非常に玉虫色の決定となっております。  私は、もともと三位一体改革については一般論的には一般財源化した方が地方の裁量で有効な事業展開ができるものは実施すべきだと思います。ただし、補助金削減分は当然税源移譲されるべきであるし、財政力の弱い地方の財政調整機能として地方交付税の果たす役割は引き続き大きいものがあると考えております。  そこで、この義務教育国庫負担金についてでありますが、一般公共事業のようにその地方の裁量で地域の実情に合った事業展開をした方がよいものとは違い教育は憲法第26条で保障された国民の権利であり、義務であります。その中でも、同条第2項後段で義務教育は無償とするとうたってあるように、国がその責任を持つべきであり、地域によって大きな格差があってはならないのが義務教育であります。  義務教育費国庫負担金の制度は、全国すべての学校に必要な教職員を確保し、市町村間、都道府県間において経済的な格差に基づく教職員配置や給与水準の不均衡を生じさせないことを保障し、教育の機会均等、教育水準の維持向上を図るための重要な制度であり、私はそうした義務教育に係る負担金を一般財源化すると地方の為政者の考え方によって現在均衡を保っている義務教育に地域によって格差を生ずるおそれが出てきはしないかとの不安を持っております。このたびの知事会等の考え、いわく中高一貫教育ができるようになる、少人数教育や外国語教育が進み細やかな教育ができるようになるなどの考えとは反対の考えであります。  また、義務教育を担っている市町村教育委員会でも、全国的に制度堅持の意見が多いと聞きます。  中学校の教職員給与の問題でこれだけもめたわけですから、来年の中教審も大変でしょうが、今後1年先送りをされた施設整備費の問題や小学校教職員の給与の話まで出てくるとますます収拾がつかなくなるのではないかと心配をしております。  そうしたことを踏まえ、知事及び教育長にこの義務教育費国庫負担金制度に関する11月26日の政府・与党の三位一体改革の決定についてお考えを聞いておきたいと思いますが、いかがでしょうか。  教育問題の2点目に、平成19年に本県で開催される第31回全国高等学校総合文化祭についてであります。  予定では、平成19年8月上旬に演劇、合唱を初め囲碁、将棋など公式部門18、協賛部門4の合わせて22の部門が県内各地で開催されることになっており、中国地方では平成10年の鳥取大会以来9年ぶりの開催で、全国から2,000校以上、1万数千名の高校生が集い、観覧者も10万人規模という大規模な芸術文化祭となる予定であります。  スケジュールからいくと来年度は、実行委員会の設置や事業計画、開催要項等の策定が予定されていると思いますが、具体的な事務局体制や県内の実施校での体制づくりについてお考えをお聞かせください。  また、この2年先を見越した第31回全国高等学校総合文化祭への対策として、県立高校の推薦入試に際して文化特別推薦入試制度が新設されると伺っております。ことし評価を得た04総体で競技成績の向上に役割を果たしたスポーツ特別推薦入試制度と同様の趣旨だと思いますし、04総体と同様の成果を上げられるよう期待するものではありますが、スポーツのように実績が数字としてあらわれてくるのとは違い一部の段やコンテストの実績で評価できるもの以外は入試に当たっての評価が難しいだろうなと思いますが、どのような基準で判断されようとしているのでしょうか。具体的には入試があるので公表できないと思いますが、基本的な考えで結構ですので、お示しいただきたいと思います。  最後に、大きな四つ目の質問は、明るいニュースが余りない中での本当に朗報でありました浜田医療センターの移転新築に関してであります。  このたびの独立行政法人国立病院機構浜田医療センターの移転新築の決定に当たりましては、知事を先頭に積極的に国への働きかけをいただくなど県当局の御尽力のおかげと地元住民の一人として厚くお礼を申し上げる次第であります。また、あわせて一緒に活動を進めてきた地元自治体や促進同盟会など関係者の皆さんの御労苦に改めて敬意を表しますとともに、この場をかりて心からお祝いの言葉を申し上げたいと思います。  私も県議に当選以来、いや、その前の浜田市議の時代から一貫して県西部の医療体制の充実ということで、国立浜田病院の機能充実に始まって、このたびの浜田医療センターの移転新築まで13年余りにわたって何度も何度もしつこく訴え続けてきましたので、感慨もひとしおであります。  執行部の皆さんもまたかとあきれられることもあったかと思いますが、きょうまでおつき合いいただきまして、ありがとうございました。この件に関しましてはこれで終わりですと言いたいところですが、今後は浜田医療センターの機能、周辺の診療所等地域医療との連携等さまざまな事柄について具体的に決めていく必要があると考えております。そうした課題についても今後引き続き地元住民を代表して訴えていきたいと思いを新たにしているところであります。  そこで、まず新しい浜田医療センター整備にどのような役割を期待されているか、改めて知事に伺います。  2点目に、先ほど申し上げたように今後さまざまな分野で詳細な検討が必要になると思いますが、具体的にどのように進めていくお考えか、お聞かせください。  3点目に、新病院建設に当たっての地元負担についてであります。  浜田医療センターの移転予定地については、浜田駅北に1.5ヘクタールの土地を確保している浜田市が責任を持って用意することとなっております。周辺の用地買収等を行って整備し、現センター用地と等価交換することになるのではないかと思います。また、病院用地以外にも周辺整備を浜田市が行うと聞いております。  用地を除く事業費については80億から90億と言われているようでありますが、実際には病院側はこれから試算をされた後、具体的な数値が出てくると考えられます。  その負担割合は、検診機能や地元が必要とする医療機能部分の施設整備でおよそ3分の1程度を地元負担ということで県と市町村が負担することとなるようであります。  90億かかるとして、単純に計算すると30億円が県と市町村の負担となるわけでありますが、どちらにいたしましても大変な経費負担となります。  浜田市選出の議員として、浜田市初め周辺市町村の財政状況を考えるとその負担割合がどのように決まるのか注目しているところであり、県の財政事情も十分承知しておりますが、地元市町村の厳しい財政事情も十分に勘案し負担割合を決めていただくよう要望するものであります。
     その上で現時点での考え方があればお聞かせいただきまして、私の質問を終わります。(拍手) 22: ◯副議長田原正居) 澄田知事。  〔澄田知事登壇〕 23: ◯知事澄田信義) 渡辺議員の御質問にお答えをいたします。  まず、道州制についてであります。  道州制の問題は、我が国の国家構造、すなわち政治・行政体制をどうするかという大変大きな課題と密接にかかわる問題です。  したがって、道州制について議論するに当たっては、効率性や合理化の追求といった単なる財政論的観点からではなく、我が国のあり方を中央集権型行政システムから地方分権型行政システムに変革していくという分権論的観点に立って議論することが極めて重要であります。  私は、道州制の導入に当たっては、国の果たす役割・機能や道・州の権限・財源等について明確にした上で全国一斉に移行すべきものであると考えています。  道州の区域について、中国州がいいのか中四国州がいいのか、あるいは州政府の所在地としてはどこがいいのか、そういったことは、まず分権時代における国と地方のあり方、さらには道州という広域自治体の中における基礎自治体のあり方などの議論を深めていく過程でふさわしい姿が見えてくるのではないかと思います。  また、その一方で、例えば中国横断自動車道尾道松江線や山陰自動車道など高速道路を初めとした交通ネットワークの充実や広域的な観光振興、産業振興など広域連携が必要なさまざまな課題について大いに議論し、具体的な取り組みをどんどんやっていくことも重要です。  現在中国地方知事会においても、道州制を含めこれからの都道府県のあり方について調査研究を進める一方で、そうした広域連携の取り組みについても活発に議論を行っているところです。  今後、第28次地方制度調査会における道州制についての調査審議状況なども踏まえながらさらに議論を積み重ねていきたいと考えています。  次に、義務教育費国庫負担金制度についてであります。  私は、三位一体の改革に係る政府・与党決定の中で評価できる点の一つに、義務教育費国庫負担金について地方案と同額の国費が税源移譲の対象とされたことが上げられると考えています。  これによって地方の意向が尊重される流れができたものと考えますが、同時に義務教育に必要な財源が地方交付税を初めとして総体として確保されることが極めて重要であります。  義務教育は、人材育成の根幹であり、財源が地方に移譲されるからといってその重要性はいささかも変わるものではありません。私は、全国の知事、市町村長は、それぞれに全力を挙げて取り組みこそすれ、だれ一人としてそれをおろそかにする者はいないと確信しています。  また、義務教育という憲法上の要請に基づく国の責任を果たすためにも、教職員配置に係るいわゆる標準法や学習指導要領などにより義務教育の機会均等やその水準を確保することが今後とも文部科学省の担うべき重要な役割であると考えます。  その上で、これからの義務教育は、それぞれの地域がよい意味で競い合い、地方の自主性を生かした多様な教育の展開に知恵と工夫を十分に発揮し、市町村と県と国とがそれぞれの役割分担に応じて推進するということが望ましい姿ではないかと考えています。  次に、浜田医療センターについてであります。  浜田医療センターの新築整備の実現は、数年来私自身が先頭に立ち力を入れて取り組んできた課題であります。長年の念願がかない、11月に整備決定されたことを地域の皆さんとともに喜びたいと思います。  この新しい病院では、浜田医療センターがこれまで果たしてきた急性期医療機能に高度診断機能を含めた検診機能やリハビリテーション機能などを加えた総合的な医療を提供することができるようになり、まさに県西部地域における拠点病院としての役割を果たしてくれるものと考えております。  また、現在合併協議の中で検討が進められている中山間地域の医療の確保についても、診療所と密接な連携をとり、その役割を十分に果たしてくれるものと期待しております。 24: ◯副議長田原正居) 濱田総務部長。  〔濱田総務部長登壇〕 25: ◯総務部長濱田省司) 市町村の防災計画におきます避難勧告などの具体的な基準の設定についての御質問にお答えいたします。  集中豪雨などが発生した場合におきましては、地域の実情に最も精通しておりますのは地元の市町村でございますので、市町村におきまして雨量や水位などの客観的かつ具体的な基準に基づきましてあらかじめ設定した基準によりまして避難勧告あるいは避難指示を行うということが最も迅速かつ的確な住民の皆さんの避難につながるというふうに考えております。  県では、こうした観点から毎年出水期前に市町村に対しまして通知を発するなどいたしまして地域防災計画の中に避難勧告などの具体的な基準を定めるよう要請してまいりました。  御質問の中で御指摘ございましたように、現在市町村の中で具体的な基準を設定しておりますのは、合併前の市町村数で3市25町村で、全体の47.4%というふうになっておりますが、未設定の市町村あるいは合併によりまして新たに基準を設定する必要がある市町村につきましては引き続き具体的な客観的な基準の設定について強く要請をしてまいりたいと思いますし、また県といたしましてもそのために必要な過去の災害発生の状況やその時点での雨量など、こうした必要な情報の提供あるいは助言を積極的に行ってまいりたいと思います。 26: ◯副議長田原正居) 井上環境生活部長。  〔井上環境生活部長登壇〕 27: ◯環境生活部長(井上勝博) ボランティアの受け入れ体制についてお答えします。  災害時におけるボランティアの受け入れ体制につきましては、島根県地域防災計画及び災害活動計画に基づき災害対策本部の設置と同時に県庁内に災害ボランティア情報窓口を設けることとしております。  市町村単位で設置されます災害救援ボランティアセンターが開設されるまでの間、各地からのボランティアの受け付けや被災地周辺の交通状況など災害ボランティア情報の収集や提供を行う総合窓口を担うこととなっております。  市町村での災害救援ボランティアセンターの開設後におきましても、当センターからの要請に基づくボランティアの派遣など島根県社会福祉協議会、日本赤十字社島根県支部と連携し、多様な災害ボランティアが効果的に活動できるよう調整を図ることとしております。  また、御指摘のとおり新潟県中越地震では、ボランティアの集中により一部地域では混乱が生じたところもあったと伺っており、住民ニーズと災害ボランティアの方々を調整するボランティアコーディネーターは欠かすことのできない存在となっております。  現在島根県社会福祉協議会で実施されておりますボランティアコーディネーター養成研修や日本赤十字社島根県支部で実施されております防災ボランティアリーダー養成講習により、県内で合わせて443名の方々が登録されております。  今後さらに災害時のボランティアコーディネーターをふやす取り組みや研修の充実について支援するとともに、新潟を初め全国各地における災害ボランティアに関する諸情報を共有するなど両機関との連携を強化してまいりたいと考えております。 28: ◯副議長田原正居) 永田健康福祉部長。  〔永田健康福祉部長登壇〕 29: ◯健康福祉部長永田伸二) 浜田医療センターの整備について、今後の進め方と地元負担についてお答えをいたします。  まず今後の進め方についてでありますが、新病院建設に向けて今後詰めなければならない事柄として、病院の規模や診療機能等の課題があります。県といたしましては、これらの課題解決に向けて浜田医療センター、県及び地元市町村等関係機関による協議の場を設けていきたいと考えております。その協議結果を踏まえて、新病院の機能や規模などが決定されるよう国立病院機構に申し入れていくこととしております。  次に、地元負担についてでありますが、成人病予防センターが担ってきた検診機能や浜田地域で不足している医療機能の確保に係る経費について県と地元市町村の中でどう負担していくのかを十分に協議していきたいと考えております。  なお、県も地元市町村も極めて厳しい財政下にありますので、できるだけ財政負担が軽減されるよう機構に対して建設コストの精査を求めていくこととしております。 30: ◯副議長田原正居) 広沢教育長。  〔広沢教育長登壇〕 31: ◯教育長(広沢卓嗣) まず、義務教育費国庫負担金制度についてであります。  義務教育費国庫負担金制度は、憲法上の要請であります義務教育において国の水準を一律に引き上げる上でこれまで大きな役割を果たしてきたところでありますが、本県で実施しております小学校の30人学級や中学校のクラスサポート事業などのような国の基準を超える独自の取り組みを行う地方自治体もふえてきておりますことからもですが、児童・生徒の実態や保護者のニーズに応じた特色ある教育施策を展開することが今日の地方分権改革のねらいであって、必要なことであります。  今回の政府案につきましては暫定措置であって、これからの中教審での審議を大きな関心を持って見守ってるところでありますが、財政規模が小さく離島や中山間地域を多く抱える本県においては、特に教育の機会均等と教育水準の維持向上を保障するために教育に充当できる必要な財源が総体として確保されることが必要不可欠であるというふうに考えております。  次に、全国高等学校総合文化祭の事務局体制及び県内実施校での体制づくりについてであります。  平成19年に本県での開催が内定しております第31回全国高等学校総合文化祭島根大会につきましては、平成14年度から大会に関する基本事項を審議するために高等学校、市町村教育委員会、文化団体、宿泊交通機関などの関係者で組織する開催推進委員会を設置し、準備を進めております。今年度は、大会テーマやポスターなどの募集を行いまして、開催に向けての機運も高まってきております。  来年度は、5月末の社団法人全国高等学校文化連盟総会での正式決定を受けて、6月には実行委員会を設置する予定にしております。現在事務局となる教育庁内の体制を整えるための検討を進めているところであります。本県の場合は、全国大会の開催に向け運営の主体となる島根県高等学校文化連盟や各部門の活動をさらに支援する必要がありますので、担当職員を増員し、このような本県独自の課題にも対処できるよう効果的な組織体制の充実に努めてまいります。  また、開催する22部門の運営体制につきましては、それぞれの専門部委員長となる教員を中心に各部門で想定される役割分担並びに担当校などの体制づくりが進められているところでありますが、中には例えば吟詠剣詩舞あるいは弁論などまだ体制が十分でない部門もあります。今後は、島根県高等学校文化連盟とも連携をとりながらこれらの部門の体制づくりにも積極的に取り組んでいくこととしております。  次に、高等学校の文化特別推薦入試制度についてであります。  この制度は、全国高等学校総合文化祭島根大会に向けた各部門のレベルアップや高校と地域との連携による円滑な大会運営、また地域文化を担う優秀な後継者の育成などをねらいとして平成17年度から実施するものであります。  この実施に当たっては、確かにスポーツの場合と違い評価が難しい分野はありますが、各種大会での実績や中学校の部活動での資質や能力などを総合的に評価した中学校長の推薦書とあわせて文化活動に向けた本人の意欲を確認するなどにより適切な選抜を実施することとしております。以上でございます。 32: ◯副議長田原正居) 福間議員。  〔福間賢造議員登壇、拍手〕 33: ◯福間賢造議員 自民党議員連盟の福間賢造でございます。ただいまからあらかじめ通告いたしました3点について一般質問を行います。  1点目は、防災体制についてであります。  ことしは梅雨前線による集中豪雨や大型台風が日本列島を次々に襲い、さらには新潟県で大地震が発生するなど自然の猛威にさらされ、非常に多くのとうとい人命や財産が甚大な被害を受けました。  特に夏から秋にかけては毎週のように暴風雨を伴う大型台風が発生をいたし、観測史上最多となる10個の台風が日本列島に上陸をいたしました。過去30年間の平均上陸台風は2.6個であることから、実に約4倍の襲来となり、中国地方の降水量は平年の約1.2倍にもなりました。  しかも上陸台風の大部分がほぼ同じように、中国大陸方面に向かいながら九州地方に近づくとそのまま直進するのがパターンでありましたが、まるでだれかの嫌がらせでもあるかのように東よりに急カーブを切って向きを変え、日本列島に上陸、縦断して大風や大雨を繰り返し、各地で河川の決壊や土砂崩れによる被害をもたらしました。  島根県におきましても、日本海沿岸をはうように走り抜けた台風18号により1人が死亡、10数名が重軽傷を負い、隠岐島を中心に家屋や農林水産関係、そして生産者に多大な被害をこうむりました。  ことしの気象が異常気象であったのか、あるいは地球温暖化の影響であったのかは私、判断が難しいところでございますが、毎年のように繰り返されるこうした自然災害の発生を防止することはできないとしても、自然災害に備えた防災意識の向上や防災体制の点検などにより減災は可能であると考えられますし、可能としなければならないと思います。  一般に風水害や地震などによる大規模災害から住民の生命・身体・財産を守るためには自助、共助、公助が必要と言われており、公助というのは国または地方公共団体が行う人命救助、避難誘導及び緊急輸送などでありますが、大規模災害の発生時には公助の役割は極めて重要であり、ことし各地の災害でも実証をされました。  台風23号の豪雨に見舞われた舞鶴市では観光バスが水没し、乗員乗客37名が屋根に取り残されましたが、舞鶴海上保安部の出動により全員救出されましたし、新潟県中越地震では道路やライフラインが寸断され、通信手段が途切れる状況下で災害発生から約3時間後には自衛隊が出動し、被災状況の把握や救助活動を行いました。さらには、東京消防庁のハイパーレスキュー隊による人命救助など見事なものでございました。  一方、新潟豪雨では、避難勧告が早かった地域には犠牲者が全くいませんでしたが、広報車やサイレンが聞こえず避難が後手後手に回った地域には犠牲者が集中し、15人の方が亡くなりました。  こうした迅速で適切な初動対応が被災者の生死を分けると同時に、被害を最小限に食いとめることにもつながると考えます。  県は、市町村、自衛隊などの防災関係機関と相互に連携・協力して災害予防、災害対策及び災害復旧を実施することにより県民の生命、身体及び財産を災害から保護する目的で地域防災計画を策定されていますが、重要なのは過去に発生した災害だけを想定するのではなく、将来起こり得る最悪の災害に備えた予見型防災計画であり、高齢者などの災害弱者に対してきめ細やかな計画でなければいざというときには役に立ちません。また、新防衛計画大綱の策定をめぐり自衛隊の定員削減が検討され、過去県西部を襲った昭和58年の豪雨災害や鳥取県西部地震などで住民の救助に大活躍された出雲駐屯地も廃止対象となっており、災害派遣など地域防災計画への影響が懸念されております。  総合計画でいう安全・安心な生活ができる島根づくりには、災害発生時の情報活動や連絡調整、迅速な初動対応などの防災体制の整備が重要であります。本県は高齢化が日本一であることから、災害弱者に対する防災対策の重要性がますます高まってきております。知事の所見をお伺いいたします。  次に、防災訓練についてであります。  ことし台風などの豪雨災害による犠牲者は、全国で死者、行方不明者を含め242名でありました。そのうち約半数の119名は65歳以上の高齢の方々でありました。  特に新潟県や福井県を襲った豪雨では、犠牲者の21名中17名が65歳以上の高齢の方であり、河川堤防の決壊から濁流が民家に押し寄せるまでの時間が非常に早く、逃げおくれたり、あるいは逃げられない高齢の方々でありました。新潟豪雨の場合、78歳の男性は要介護者で、寝たままの姿で水死されておりますし、76歳の女性は濁流に追われ2階に逃げ切れず、家の中で溺死されました。  このようにことしの災害はまさに高齢化社会特有の災害形態であり、高齢化が進む中で災害弱者をどのように把握し、どのように避難・救助するか、日ごろからの防災訓練がぜひとも必要であると強く印象づけられました。  もとより高齢者の場合、パソコン、携帯電話、ファックスなどの情報機器による避難情報への対応が遅くなりがちで、停電などにより避難情報が途絶えた場合にはさらに避難行動が遅くなります。  実際高齢者のみの世帯の避難時間は、若い人と同居している高齢者の避難時間に比べ約1時間多くかかるという調査結果もあります。  そこで、水害時と地震時の避難では避難行動や避難場所などで全く異なっていますが、集中豪雨を想定した防災訓練の実施と高齢者などの災害弱者に対する避難誘導体制についてお伺いをいたします。  2点目は、河川整備についてであります。  豪雨災害に伴う人命などの被害をできるだけ軽減するためには、日ごろの防災訓練とともに災害発生時に関係機関が連携して防災情報を収集・活用し、住民が迅速な避難行動をとれるように情報をわかりやすく提供するなど災害に対する情報防災も推進すべきと考えます。  これまで県は、雨量観測局と水位観測をテレメーター化し、水防本部の河川課と水防支部の各土木事務所とのオンライン化を図る水防情報システムの整備や全国に先駆けた携帯電話による島根県の川の防災情報の提供を実施されてきました。  この島根県の川の防災情報は、平常時でも1日当たり約500件のアクセスがあり、台風の接近時や降雨時には1日当たり2,000件を超えるアクセスがあるようであります。  さらに、インターネットのホームページ上でも10分ごとの水位雨量のリアルタイムデータを配信するなど情報防災に積極的に取り組まれておりますが、ことし各地で発生した豪雨災害により洪水ハザードマップの重要性が非常に高まりました。  ところが、県内で作成済みは、合併前の数字ですが、県西部が益田市など4市町村、県東部が平田市など4市町村の計8市町村のみであります。その作成が非常におくれております。  洪水ハザードマップの作成は、河川がはんらんした場合に想定される浸水区域と水深を河川管理者が関係市町村に提供し、市町村がこれに基づき避難場所及び避難経路などを地図上に示すという流れであります。  今後、市町村合併が進めば情報伝達の範囲が広域化するため、防災情報の迅速かつ正確な伝達が可能となるか懸念されるところであります。災害発生時に適切な避難行動がとれるよう、安全な避難方法や避難経路などを地域住民にあらかじめ周知徹底することがますます重要になってくると思われます。  そのため県がリーダーシップをとり、市町村と連携し、住民にわかりやすい情報の提供など情報防災を推進すべきと考えますが、その対策についてお伺いをいたします。  次に、河川のハード整備についてであります。  島根県の河川は流域面積の小さいものが多く、地質的にも風化侵食を受けやすいため、わずかな降水量でも災害が発生しやすい状況にあります。このため昭和47年、58年、63年の大災害など過去幾多の災害により甚大な被害をこうむってきました。  こうした災害から人命・財産を守るため、洪水を安全に流下させるための河道の拡幅、堤防や放水路などの整備、治水上支障となる橋梁の改築などの工事を国の補助事業や補助事業で採択されない河川には県単独事業の導入により懸命に整備されてきましたが、現状ではその整備率は28%と依然に低く、直轄河川の整備率が58%であることから、その整備は非常におくれております。  県が管理する河川延長の約2,700キロメートルのうち改修が必要な区間は約1,600キロメートルでありますから、約1,100キロメートルが未整備のまま残っているということでございます。ことしは幸いにも新潟豪雨のような雨は降りませんでしたが、台風の進路や梅雨前線の位置が少しでもずれていたら島根県も新潟豪雨と同様な豪雨が発生していたかもしれません。  新潟豪雨が斐伊川流域で発生した場合、宍道湖の最大水位は昭和47年水害と同じ2メーター50センチにも達することが国土交通省出雲河川事務所の試算結果でわかりましたが、47年災害クラスの雨はいつどこでも降る可能性があることを強く認識しておかなければなりません。その上、近年は局地的な豪雨がふえております。その被害箇所を見ると、国が直轄管理する河川よりも県管理の中小河川での洪水が目立っています。新潟豪雨で堤防が決壊した河川も県管理河川でありました。  水害から生命・財産を守る治水対策は最優先の社会資本整備であり、その整備が遅滞しては安全・安心な生活が確保できません。  危機的な財政状況の中、中期財政改革基本方針により河川事業予算も大変厳しいものが考えられますが、災害に強い安全・安心な生活ができる島根づくりのためにも河川整備は促進すべきであります。  そこで治水効果を早期に発現するための方策についてお伺いをいたします。  また、新潟などの水害を教訓に被害を最小限に食いとめる効果的な対策を実施し、県民の安全・安心を確保すべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  3点目は、青少年の健全育成についてであります。  子供たちを取り巻く環境は国際化、情報化、少子高齢化などの進展に伴い大きく変化しており、子供たちをめぐるさまざまな問題が起こっております。ことし6月には、長崎県佐世保市の小学校で6年生の少女が同級生に切りつけられ死亡するという痛ましい事件が発生をいたしました。以前神戸で起こった連続児童殺傷事件は14歳の少年の犯行でありましたが、今度の加害者は11歳の少女ということで、大変驚きました。  最近のこうした少年・少女事件の多くは、テレビ、ビデオ、インターネットなどさまざまな情報メディアの発達・普及などにより幼児期から読書習慣が形成されず、そのために言葉を通じて問題を解決する能力の不足によるものではないかと思っております。  読書は、知識の蓄積、国語力の増進、基礎学力の向上など知性が発達する上で重要であることに加え、読書を通じて自分自身に問いかけ、自分自身を見詰め直し、自分自身で物事を解決したり善悪の判断をする力を身につけるなど想像力豊かな感性、情操、そして思いやりの心などの理性をはぐくむなど子供の健やかな成長過程で非常に重要な役割を果たしております。  全国学校図書館協議会の読書調査によれば、ことし5月の1カ月間の平均読書数は、小学生が7.7冊、中学生が3.3冊、そして高校生が1.8冊であり、この1カ月間の間に本を1冊以上読んだ児童・生徒は、小学生が昨年の91%から93%へふえたほか、中学生が68%から81%に、高校生が41%から57%へと増加をいたし、中・高校生の読書数が大きく伸びました。
     県内の小・中学校のうちで読書活動を実施してる学校の割合は、平成14年度の実績で小学校が約93%、中学校が約87%と、年々着実に増加しております。  また、県内には27の市町立図書館がありますが、平成15年度の貸出図書数は総数で210万冊、内訳は市立図書館が約145万冊、町立図書館が65万冊でありました。  平成10年度の貸出図書総数は約160万冊であり、5年間で1.3倍に増加いたしました。特に町立図書館の貸出図書数が大きく伸び、2.6倍の増加となりました。  1人当たりの貸出図書数を出雲部と石見部で比較すると地域的な格差はほとんど見られませんでしたが、都市部と町村部で比較すると町村部の貸出数が多く、約1.3倍となっております。  これらの図書館が存在する地域における少年非行についても調査をいたし、読書と少年非行の関係について検討いたしましたが、読書と少年非行との明確な相関関係は判明しませんでした。しかし、読書が少年非行の防止に役立っていると私は確信しております。  そこで読書と少年非行の関係についてどのような認識を持たれているのか、教育長にお伺いをいたします。  先日、朝日新聞は、リポートしまねで学校司書を取り上げ、その中で毎日接していると信頼関係を築くことができ、その子の読みたい本もわかるという嘱託職員の気持ちや人がいるだけで図書館がぬくもりのある場所になるという教諭の話を紹介しておりましたが、私もなるほどなと思い、共感するとともに、学校における司書の重要性を再認識いたしたところでございます。  県は、ことしの3月に島根県子ども読書活動推進計画を策定され、施策の総合的・計画的な推進に取り組まれているとこでございますが、読書教育は人づくりです。人づくりは地域づくりです。健全な青少年を育成するためにも明るい未来を構築するためにもさらなる読書活動の推進が必要と思い、公立図書館や学校図書館の充実と学校司書の増員についてお伺いをいたします。  次に、青少年の健全育成に向けた警察の取り組みについてであります。  警察庁の調査によれば、過去10年間に警察に検挙された刑法犯少年について同年齢層の人口比で見ますと平成15年度は平成6年度と比較して約1.4倍となるなど増加傾向にあります。青少年が立派な社会人として成長していく過程においても、先ほど述べました読書などによる心豊かな人格形成とともに、非行に走らせない、さらには不幸にして非行を犯した少年に対して同じ過ちを繰り返さないための方策も重要であります。そのためには少年補導などの任務に当たる警察の果たす役割は極めて大きいものがあり、現実に少年非行が増加している実態を考慮すれば県民が警察官や少年補導職員に寄せる期待は従来以上に強くなっていると思います。  地域の警察署では、青少年の健全育成の観点から柔道教室、剣道教室が開催されたり制服警官による地域のパトロールなど積極的に取り組まれておりますが、事件、犯罪が悪化傾向にあっては警察のみでは対応し切れない面も多々あると思います。もとより青少年の健全育成には地域ぐるみで取り組むべきものであります。家庭、地域、学校、警察などの関係者が一体的に協働してこそなし得るものであります。  そこで非行防止活動を初め青少年の健全育成に関して他機関との連携も含め警察における取り組みについてお伺いをいたし、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 34: ◯副議長田原正居) 澄田知事。  〔澄田知事登壇〕 35: ◯知事澄田信義) 福間議員の御質問にお答えいたします。  まず、高齢者など災害時の要援護者に対する防災対策についてであります。  県では、これまで災害時における県民の生命と財産を守るために総合防災システムの整備など防災体制の強化を図るとともに、地域防災計画に基づき災害予防対策などを進めてまいりました。一方、ことし新潟県や福井県などで相次いで発生した集中豪雨や台風による災害では避難勧告がおくれる事例があり、さらに先般の新潟県中越地震では停電などによる防災行政無線の通信の途絶や道路網の寸断による孤立集落の発生など多くの課題を突きつけられました。  特に寝たきり老人や障害者の方が被災され、お亡くなりになられたという報道に接するほどに心を痛めたところであります。  現在本県では、新潟県中越地震を教訓とした災害対策の課題を抽出しているところであり、こうして得た課題を整理の上、来年2月に震災時の高齢者対策などを盛り込んだ地震シミュレーション訓練を実施することとしております。  また、市町村に対しては町内会ごとの要援護者の実態把握や災害発生時の緊急連絡体制の整備、あるいは消防団や民生委員などによる避難誘導体制の確立などについて引き続き要請してまいります。  次に、水害対策についてであります。  本県は、地形が急峻で河川の勾配も急であるため、わずかな降水量でも災害が発生しやすい状況にあり、過去幾多の甚大な被害をこうむってまいりました。  このため斐伊川・神戸川治水事業を初めとする治水対策を長年にわたり実施しているところであり、今後ともそれぞれの地域で安全・安心な生活ができる島根の国づくりを目指して災害に強い県土づくりを効果的かつ着実に推進していきたいと考えております。  本県においては膨大な河川延長を抱えており、厳しい財政状況の中で当面整備を実施できない河川もありますが、水防活動や避難支援のための河川情報の提供などによりハード・ソフト両面で被害を最小限にとどめ、県民の安全と安心の確保に努めます。 36: ◯副議長田原正居) 濱田総務部長。  〔濱田総務部長登壇〕 37: ◯総務部長濱田省司) 豪雨災害時に備えた防災訓練の実施と高齢者などに対する避難誘導体制についてお答えをいたします。  本県におきます総合防災訓練は、従来は県主催によりまして各支庁・総務事務所単位に毎年1回出水期前の時期に実施をしておりました。しかし、防災の基礎的自治体である市町村の役割と総合調整を行う県の役割分担を明確化するということと同時に、より地域に密着した実践的な訓練を行う必要があるという考え方に立ちまして、平成15年から地元市町村が訓練の実施主体となりまして、県も参画した実行委員会方式で実施をするという方式に変更いたしたところであります。  昨年度は出雲地区、今年度は5月に益田地区で総合防災訓練を実施したところでございますが、多くの地元住民の参加が得られるなどこの所期の目的は達成できているというふうに思っております。  来年度以降の訓練におきましては、ことしの夏の集中豪雨あるいは台風による人的被害では御指摘もございましたように高齢者が圧倒的な多数に上った実態を教訓といたしまして、災害の要援護者の避難誘導に重きを置いた訓練となりますように関係機関との調整を図ってまいりたいと思います。  また、災害発生時に実際に住民の避難誘導の役割を担います市町村の地域防災計画に災害時要援護者が安全かつ迅速に避難できる体制の整備に関する詳細を記述していただくということをあわせまして、より実践的な訓練を通じまして万一の災害の場合に適切に対処できるように強く働きかけを行ってまいります。 38: ◯副議長田原正居) 菅原土木部長。  〔菅原土木部長登壇〕 39: ◯土木部長(菅原信二) 水害に対するソフト対策についてお答えします。  ソフト対策のうち最も重要なのが水防活動ですが、本県では水防警報の伝達や水防体制の確立などの水防活動が円滑にできるよう水防計画を適宜見直すとともに、島根県水防情報システムを活用し、迅速かつ的確な情報伝達に努めております。  また、議員御指摘のようにインターネットを活用してリアルタイムで広く一般住民に雨量や水位の情報を提供しております。  洪水ハザードマップにつきましては、水防法に規定する洪水予報を行う河川の流域市町村が作成することとなっており、現在県内では直轄河川の流域市町村が作成しております。  議員御指摘のように、洪水ハザードマップは水害時の人的被害を軽減するために非常に有効なものであり、県としては河川延長が短く洪水予報ができない河川にも洪水ハザードマップの作成が必要と考えておりますし、国においても同様な考え方から制度の拡充を検討しているというぐあいに聞いております。  このため浸水予報範囲や浸水の深さなどを記載した浸水情報図の作成に取り組み、情報提供を行うことにより多くの市町村が洪水ハザードマップを早期に作成、公表するよう働きかけるとともに、水害に対する住民意識の高揚も図りたいと考えております。  次に、河川のハード整備についてお答えします。  河川整備は、安全で安心できる地域を実現し、人々の生命や財産を守る最も基幹的な治水対策であり、国庫補助事業や安全な暮らしを守る県単河川整備事業により鋭意推進しているところであります。  河川整備には多額の費用と長い年月を要することから、治水効果の早期発現を図るため床上浸水対策事業などによる年限を切った重点投資や治水上ネックとなっている箇所の優先整備、暫定施工の実施など集中的かつ効果的な整備に取り組んでおります。  厳しい財政状況の中、事業費削減により整備の進捗がおくれることとなりますが、引き続き治水効果の早期発現に努めてまいります。 40: ◯副議長田原正居) 広沢教育長。  〔広沢教育長登壇〕 41: ◯教育長(広沢卓嗣) まず、読書と少年非行の関係についてであります。  読書活動は、多様な価値観に基づいたさまざまな生き方があることを知り、みずからのあり方を考える上で大きな役割を果たすとともに、感じたこと、考えたことなどを表現する力を養うなど将来をより豊かに生きていく力を身につけていく上で極めて重要であると考えております。  例えば幼児期においては、親や家族が読み聞かせをすることにより家族の愛情を伝え、感性をはぐくむことができます。  小学校段階では、朝読書などにおいてよい本と出会い、本を読む楽しさや感動することの喜びを味わうことができます。  中学校や高校の段階では、心の安らぎや安心感、人を思いやる心を醸成するとともに、知的経験を積むことによって思考力や判断力を高め、表現力や想像力を豊かにしていくことができ、将来に向かって自分の人生のあり方を考えていくきっかけになるものであります。  また、読書三到という言葉がございますが、一つが心を集中して読む、これは心到であります。「とう」は到達の到でございますけども、心到。それから目をそらさずに読む眼到、もう一つは口に出して音声で読む口到であります。これはいずれも大切なことでありまして、年齢、時期、場所に応じてそういった読書三到をやはり指導すべきであるというふうにも考えております。  このように発達段階に応じて幼児期からの一貫した読書活動の推進は、人間形成の上でも大きな役割を果たすとともに、国語力の向上、またコミュニケーション能力の向上などにも資するものでありまして、まさに今求められる教育の根幹をなすものであります。  私は、読書活動を充実させ、その効果を取り込んだ教育を推進することが児童・生徒の問題行動の未然防止と、ひいては非行の抑制にもつながるものと確信をしております。  次に、図書館の充実等についてであります。  子供の読書活動を推進するためには子供が読書に親しむ機会の充実を図ることが大切でありまして、そのためには公立図書館や学校図書館の整備や充実が不可欠であります。公立図書館の中心的役割を担う県立図書館では、図書館振興計画を策定いたしまして、市町村の図書館活動を支援すること、県民の学習活動を支援すること、子供の読書活動を支援することなどを主要な役割として推進しております。  また、市町村立図書館の役割は、まず第一義的に地域の読書活動を盛んにすることであります。幼児への読書支援や学校図書館との連携など地域に根差した活動が求められており、県といたしましてはこうした市町村立図書館に対して蔵書の一括貸し出しや職員の研修などの支援に努めております。  学校の教育活動の中でも図書活動の充実のためには、子供の思いを受けとめ、気持ちに沿った本と出会わせてくれる人の存在が重要でありますことから、現在学校司書等専任職員や地域・保護者ボランティアなどの協力を得て豊かな読書活動を行ってる学校がふえてきております。現在ボランティアなど何らかの形で図書館活動にかかわっていただいている学校は、小学校で約75%。  県教育委員会といたしましては、市町村に対してさらに専任職員やボランティア等の人材配置をいろいろな機会を通してお願いしたとこであります。  今後、市町村合併によりまして今以上にボランティアによる協力など幅広く人材を求めることが可能と考えられますので、そうした人材に地域での子供の読書活動を支えていただくようさらに要請していきたいと考えております。以上でございます。 42: ◯副議長田原正居) 鎌田警察本部長。  〔鎌田警察本部長登壇〕 43: ◯警察本部長(鎌田聡) 青少年の健全育成に向けた警察の取り組みについてお答えをいたします。  警察では、厳しい少年非行情勢を踏まえまして、制服警察官、少年補導職員によるパトロール活動について学校やボランティアの協力も得ながらその強化を図り、現場における指導や、あるいは事件検挙を通じて自己の行為に対する責任を自覚させる活動を推進しております。  その一方で、少年の規範意識を高めるため柔道・剣道教室等のスポーツ活動や奉仕活動等の社会参加活動について地域住民と協力しながら推進しているほか、学校や教育委員会と連携した非行防止教室等の開催など非行防止、健全育成活動に積極的に取り組んでいるところであります。  さらに、本年県内4市に設置した子ども支援センターでは、不登校やいじめなど学校内での問題や非行問題など幅広い相談に対応するとともに、必要により学校や児童相談所など関係機関や地域のボランティアと連携を図りながら就労支援等の継続的な支援を行っているところであります。  これまでの4カ月の間に85人の子供に対する支援を行っておりますが、深夜徘回等を繰り返す無職少年に対するボランティア体験や就労の支援により立ち直りに向かっている事例など着実に成果が上がりつつあります。  また、このたび県教育委員会及び私立中学高等学校連盟と警察本部間で協定を締結し、相互の情報交換を促進する連絡制度を構築するなど児童・生徒の健全育成のため学校と警察が一層の連携強化を図ったところであります。  今後とも関係機関・団体、地域のボランティア等との連携を一層深め、地域社会が一体となった総合的な少年非行、健全育成対策を強力に推進していく所存であります。 44: ◯副議長田原正居) 以上で本日の議事日程は終了いたしました。  次の本会議は、12月7日に開きます。  本日はこれをもって散会いたします。        午後2時27分散会 発言が指定されていません。 島根県議会 ↑ 本文の先頭へ...